2:ディソナが全てを過去にする
ディソナを一言で表すのなら、「新時代のウィクロス」が最もふさわしいだろう。全てのカードを過去にする新時代の幕開けこそ、2023年2月11日に発売された12弾「DISSONANCE DIVA」だ。
全2弾の「ディソナ編」の前編で、「ディソナ」アイコンを持ったカードが大量に収録。センタールリグはメル、みこみこ、花代。そして黒のタマと白のイオナ……、つまり「ユキ」が登場した。

収録されたほとんどのカードが「ディソナ」に関するシナジーを持っており、「場に『ディソナ』のシグニがいる時」「エナから『ディソナ』のカードをトラッシュに置く」など、能力の発動やコストの条件として「ディソナ」のカードを求めるものが多いのが特徴だ。「ディソナ」はこの弾からの登場で、カードプールは非常に狭い。しかしその分少数精鋭であり、精鋭のレベルが群を抜いていた。
そんな「ディソナ」で最初に紹介すべきカードは、やはり《小砲 バクチク//ディソナ》だろう。
レベル1ながらパワー5000以下のシグニをバニッシュできる、これまで登場したシグニ以上のパワーを持った下級シグニだ。

ここまでの歴史を歩んできたプレイヤーや読者の皆様ならわかるだろうが、レベル1のシグニが、1枚のコストで除去できるシグニのパワーラインは、基本的に3000だった。ゆえにマイナス3000ができる《羅菌 オイゴナ》が重宝され、【ランサー(パワー3000以下のシグニ)】の《翠将 バーバリアン》が画期的と評され、「レベル1パワー5000」は序盤の壁であり、レベル1ながらマイナス8000ができる《羅原 Pa》は2枚の手札コストを求められた。パワー5000のシグニを1コストで除去するには、レベル2の《紅将 ランスロット》が必要だったし、《小装 デウス//メモリア》も2枚以上のカードが必要となる。これまでのディーセレは、そんな時代だった。
そんな中で登場した《小砲 バクチク//ディソナ》が、どれほど革命的だったか、表現する言葉は見つからない。黒船襲来か、産業革命か、はたまたIT革命か……。陳腐ではあるがとにかく「革命的」であり、コスト1枚でパワー5000以下のシグニを除去できるレベル1シグニを「バクチク互換」と呼ぶプレイヤーもいるように、《バクチク//ディソナ》は今後のアタッカーを定義づけた存在といえる。レベル1シグニがレベル2シグニさえも除去できるようになったのだから、それはもう革命的だった。
で、《バクチク//ディソナ》だけの登場であればここまで騒がれることもなかっただろう。
それに匹敵するレベル1シグニが、ディソナで2体も登場したから大変なことになったのだ。
その1枚目は《幻獣 ワウルフ//ディソナ》。出現時能力で、エナのディソナカード1枚をトラッシュに置くことで【ランサー(レベル1以下)】を得るレベル1シグニだ。「画期的」と評された《翠将 バーバリアン》がほぼそのまま、ディソナに登場したのだ。

エナコストに「ディソナ」縛りこそあるが、ディソナデッキであれば実質無色1エナで【ランサー】を得られる。除去できるパワーラインは《バクチク//ディソナ》には及ばずとも、自身のパワーが3000と標準的だったため、ほとんどのレベル1シグニを貫けた。【ランサー】ゆえに《バクチク//ディソナ》では除去できない【シャドウ】を持ったシグニの上からライフクロスをねらえるなど、両者の相性補完は抜群だった。
そしてもう1枚が《コードメイズ ムジカ//ディソナ》。出現時にエナのディソナカードを1枚トラッシュに置くことで、相手のシグニ1体のパワーをマイナス3000できる。

こちらも《バクチク//ディソナ》に及ばないとはいえ、1コストでマイナス3000ができるレベル1シグニだ。レベル1でマイナス3000ができるシグニは既に《羅菌 オイゴナ》がいたため、《バクチク//ディソナ》《ワウルフ//ディソナ》にやや一歩遅れる印象もあるが、それでも充分なスペックといえよう。
特に《ワウルフ//ディソナ》が【ランサー】を持っていたことが、ディソナの攻撃性能を象徴していた《バクチク//ディソナ》《ムジカ//ディソナ》だけであれば【シャドウ】で対応できたのだが、それも貫く【ランサー】が、ディソナの火力のバリエーションを広げていたのだ。加えてレベル1のディソナには《紅天 アノウズ//ディソナ》という、ディソナシグニがアタックした際にパワーを5000上昇する自動能力を持つシグニもいた。《聖将 トキユキ》などでパワーラインを上げても貫かれることもあり、白の下級シグニのみではディソナを完璧に受けることはできなかったのだ。そもそも《アノウズ//ディソナ》が無くとも、スペル《開園の合図》であっけなく貫通されていたわけだが。



ゆえに、リメンバとサシェの序盤を支えてきた白のシグニたちは、ディソナの新勢力に食い荒らされることになった。言わずもがな、これらディソナシグニ自身もあっさり除去されるため、序盤から2点、3点が飛び交うのが日常茶飯事となった。
そんなアタッカーたちのリソース事情を支えていたのが《羅植 アイビー//ディソナ》だ。

アタックフェイズ開始時に自分のシグニが全て「ディソナ」であればエナチャージができるシグニ。デッキの全てを「ディソナ」で構築するディソナデッキでは、実質の無償1エナチャージとなった。《ワウルフ//ディソナ》や《ムジカ//ディソナ》、《開園の合図》で消費したエナをあっさりと取り戻していたのだ。
先攻であれば空いたシグニゾーンの正面に《アイビー//ディソナ》置き、残りを《バクチク//ディソナ》などで処理して3面要求。後攻2ターン目でもアシストルリグや《バクチク//ディソナ》、時には《開園の合図》を駆使してあっさり3面要求。これがディソナの序盤の日常茶飯事だ。《アイビー//ディソナ》はとりあえず場に出しておけば1エナを得られるため、ディソナの代名詞的存在として、今後長く活躍することになる。次弾では手札を増やせる青の《蒼天 ユパンダ//ディソナ》も登場するが、総合的には《アイビー//ディソナ》の出番が多かったようだ。
そして、そんな《アイビー//ディソナ》のパワーが5000であったこともまた、《バクチク//ディソナ》の強さを押し上げていた。《アイビー//ディソナ》を出せばエナこそ得られるが、返しにあっさり《バクチク//ディソナ》で除去されてしまう。このパワフルな序盤帯もまた、ディソナ環境の特徴だ。
「パワー5000以下」が下級シグニの一つの境界線となったことから、《似之遊 カゴメカ//ディソナ》や、次の弾で登場した《羅原 ミルルン//ディソナ》といった、レベル2でパワー8000のシグニがそれだけで評価されることもあった。もちろんこれらのシグニはディソナであり、特に《カゴメカ//ディソナ》はレベル3のディソナシグニにつながる能力を持っていることが評価につながっていたが、「レベル2でパワーが8000」というのは、この環境では一つのステータスとなっていたのだ。無論《開園の合図》で除去されるが、序盤ではそれでしか除去できないのは、明確な強みといえるだろう。



「序盤の除去」という一点においては、これまでのカードの追随を許さないスペックを持ったディソナたち。では他の要素はというと……、2年間に登場したシグニの中から、優秀な能力だけを厳選した、オールスターでベストセレクションな面々が押し掛けてきた。
《幻水 イシガメ//ディソナ》は《蒼魔 マノミン》で、《EXTRA》は《RANDOM BAD》で、《コードメイス ペイラビ//ディソナ》は実質《コードメイス ユキ//メモリア》だ。《羅原 まほまほ//ディソナ》はデッキ破壊のみを見れば《コード2434 北小路ヒスイ》の上位互換に近いし、《中罠 ゆかゆか//ディソナ》はサーバント回収という点では破格の性能だった。2年の歴史を凝縮したエリート揃いのシグニたちが、「ディソナ」の旗印の下でシナジーし、全てを塗り替えていった。全てが一段階上のパワーを持っており、これまでのシグニやスペルより、明らかに強かった。



では、そんなディソナで登場したルリグは何を持っていたのか……。
和装ゴシックに装いを改めた彼女たちは、全てが高水準で、新時代の性能を持っていたのだ。