第4章:その部屋は誰のもの?

/
  1. ホーム
  2. ディーセレ史
  3. 第4章:その部屋は誰のもの?

4:きりーつ、きをつけ!コラボの時間です!

12月の拡張パックの名前は「にじさんじ DIVA」だ。0弾「INTERLUDE DIVA」以来久しぶりの<バーチャル>強化で、既に登場していたアンジュ、リゼ、とこの3ルリグに加え、「月ノ美兎」こと「美兎」が新たなセンタールリグとして登場。収録されるシグニは全てにじさんじのVtuberで、シグニは白か黒の<バーチャル>のみというコラボ弾だった。

タカラトミー公式サイトより

センタールリグはどれも「コラボ」という新要素を持っている。

レベル3グロウ時に「コラボライバー」を2人得て、ルリグの起動能力を使う際に消費するというギミックだ。回数が限られている分強力な能力になっており、ピースを使うことでコラボライバーを追加で2人得られるなど、最先端のディーセレのカードと渡り合えるデザインとなっている。

ピースのパワーもなかなかに高く、「リレーピース」という新要素が登場した。
2枚1組で使うピースであり、2枚目は1枚目を使用していなければ発動できないというデザインになっている。その分パワーは相当高く、《世怜音女学院 Moon Night》は「相手のデッキを2434枚トラッシュに置く」という、一見冗談に見えて冗談ではないピースもある。2枚1組ゆえ《ゼノ・クラスタ》などのメタカードは採用しづらいが、それに見合った性能を発揮する。

また、センタールリグの誰もが<バーチャル>に関する能力を持たない点も注目だ。今後カードパワーが上昇していき、この時点での<バーチャル>シグニのカードパワーがメタゲームから置いて行かれたとしても、ルリグは<バーチャル>と無関係であるため、ルリグはそのまま、メインデッキでは未来のカードを採用することもできるようになっている。「リレーピース」「クラスを問わない能力」というデザインは後の<ブルアカ>でも活かされており、コラボからウィクロスを知った人に、長くウィクロスを遊んでもらおうという願いを感じる。実際《【センター】アンジュ レベル3’》は2025年頃もちらほらセレモニーで入賞実績があるなど、その願いは形になっている。

さて、そんな新弾ルリグたちの性能はというと、これがなかなかにパワフルだった。

まずメタゲームに切り込んだのが《【センター】アンジュ レベル3’》だ。コラボ起動能力では1エナと1コラボで、相手のパワー12000以下のシグニを1体手札に戻せる。回数制限こそあれど、パワー12000というレベル3の標準パワーも除去できる性能は、最高峰に近いスペックといえる。しかもターン1の制限もなく、エナとコラボ先があればガンガン攻められるうえ、バウンスゆえにエナを与えない点も優秀だった。

そしてゲーム1能力「#賢者の時間」も強烈だ。発動ターン中のルリグアタックの際、相手が無色4エナを払わなければ追加ダメージを与える起動能力だ。バウンス主体で攻めるゆえに相手のエナを絞れる点が相性が良く、そうでなくとも4エナはなかなか支払えない。コラボによる除去を持っていたこともあり、アンジュは《頂点へ一歩 ヒラナ》のような性能のルリグとして捉えられ、新たな「ダッシュ」系デッキの候補として注目された。現に様々な構築が開拓されていくが、いわゆる【ダッシュアンジュ】がメタゲームで暴れ始めるには、もう少々時間がかかることとなる。

アンジュと同じ「さんばか」のリゼ、とこ、そして新規の美兎は、アンジュほどではないにせよ一定の活躍を見せた。しかし、特にとこや美兎は、リメンバやサシェが跋扈している環境では大活躍とまではいかず、特に採用が目立った《コードハート リメンバ//メモリア》が、起動能力である「コラボ」の目の上のたんこぶだった。アンジュの起動能力も優秀ではあったが、パワー15000の《リメンバ//メモリア》の壁は高く、自慢の速攻戦術が阻まれることも少なくはなかった。

とはいえ、新たに登場した<バーチャル>シグニは白、黒どちらも優秀だった。
特に強力だったのが《コード2432 西園チグサ》だ。

場に<バーチャル>シグニが3体いるだけで、センタールリグの連続ルリグ攻撃を可能とする新時代のアタッカーだ。これまでも《コウメイ》などで連続ルリグアタックを可能にしていたが、《チグサ》はシグニのアップ、ダウンを求めない点が新時代だった。シグニによる打点とルリグの連続攻撃を併用できるため、特に《【センター】アンジュ レベル3’》では更なる火力増強枠として存分に採用されたうえ、連続ルリグアタックは<バーチャル>軸でデッキを構築する大きな動機となった。

「《リメンバ//メモリア》が厄介」と書いたが、能力を消せる《コード2432 エリーラ・ペントラ》もこの弾で登場。<バーチャル>クラスゆえに多くのサポートを受けられたり、デッキトップ操作なども合わせて、<バーチャル>系デッキでは2枚ほど採用されていた。他にも堅牢な【シャドウ】の《コード2432 空星きらめ》や、レベル1を確定でバウンスできる序盤のアタッカー《コード2432 東雲コハク》など、少数精鋭ながら粒ぞろいのシグニが揃っていた。

黒の<バーチャル>も負けてはいなかった。
下級では《コード2432 北大路ヒスイ》がデッキ破壊役として活躍。他に<バーチャル>のシグニが必要だが、アタックしただけでデッキを落とせるレベル1シグニの中では特に使いやすい1枚だった。《コード2432 周央サンゴ》は「世怜音女学院」のシグニが場とエナに5種類揃っていると、パワーが35000になるド派手な能力で登場。35000を差し引いても、出現時能力でトラッシュから好きな<バーチャル>シグニを蘇生できるため、デッキの潤滑油として採用された。35000という数字は名前の「サンゴ」から来ており、ライバーのアイデンティティを能力に落とし込んでおり、相手のデッキの上から3枚をトラッシュに置き、そのシグニのレベルの合計が7であれば更に7枚落とすという《コード2432 レイン・パターソン》も、本人の「ギャンブル好き」を能力で再現したものだ。

アシストルリグでは《【アシスト】リゼ レベル2【氷壁】》の使い勝手がかなりよかった。

アシストルリグはこれまでも多々登場していたが、「マドカ、マキナ、LION、メル」の牙城を崩すことはなく、それ以外の選択肢は皆無といってよかった。このリゼは「3エナで2面止まる」シンプルな性能で、「LIONほど重くはないが2面止めたい」中間択として、久しぶりに選択肢が増えた1枚だ。それでもマドカたちの牙城は崩せず、「アシストルリグが偏る」という傾向は後にアーツが登場するまで、結局解決しないままだ。

この環境の中で行われたイベントにひとつが「にじさんじ限定構築戦」だ。
「にじさんじ DIVA」と「INTERLUDE DIVA」に収録された<バーチャル>関係のカードのみを使った構築戦。限られたカードプールで、かつ大会開催数は少なかったが、それゆえの面白さもあった。

「INTERLUDE DIVA」組はカードパワーでお役御免かと思いきや、【シャドウ】を持つ《本間ひまわり》や、パワーが上がってとこやアンジュの除去から逃れられる《アルス・アルマル》が注目された。

それを受けて、《アルス・アルマル》のパワーを問わず除去できる《フレン・スラッシュ》と《フレン・E・ルスタリオ》が投入されたりと、メタゲームが目まぐるしく移り変わる活気あるイベントだった。優勝賞品がコロナ禍でほとんど配布されなかった《リゼ》のおやすみレベル0だったこともあり、イベントは盛況だった。

シグニやルリグのパラレル版にはライバーのサインが描かれたり、シリアルルリグがいつも以上に注目されるなど、ウィクロスプレイヤーのみならず、ライバーのファンからも熱視線が注がれたパックでもあった。キーセレクション時代のにじさんじカードと合わせた特設ショーケースを設けるカードショップもあり、明らかにカードゲーマーではない人がショーケースをのぞき込む姿を、筆者は何度も見た。
本来であれば「INTERLUDE DIVA」後に繰り広げられるはずだった光景であり、にじさんじのファンに「さんばか」の構築済みデッキと共に「ウィクロス」を知ってもらう導線であっただろうが、残念ながらコロナ禍がその機会を大きく奪った。あれから2年の月日が経ち、様々な紆余曲折を経て、その願いはようやく現実となろうとしていた。いや、なったと言っていいだろう。

こうして、無事に全てのルリグがディーヴァセレクションに集結。
夢限少女杯も幕を閉じ、今度こそディーセレはひとつの節目を迎えた。めでたしめでたし。

……時を戻しに戻して、2022年1月。パックで言えば8弾「SPREAD DIVA」が登場するころ。とあるユーザー投票企画が行われていた。

フレーバーストーリーの舞台「WIXOSSLAND」に、新たなエリアが登場。そのエリアのモチーフをユーザー投票で決定し、それが2023年度のディーセレのテーマになる、という投票企画だ。モチーフのアンケートは更に前の2021年7月に行われており、そこで人気だったのが「日本風」「南国バカンス」「カジノ」「剣と魔法のファンタジー」「ゴシック・ホラー」の5つ。そのうち2つを組み合わせた世界観が、2023年のウィクロスの舞台になる。自分たちが買う商品のテーマを自分たちで選ぶ、というなかなか独特な企画であるが、どれもがバラバラの5テーマから選ばれたのは……、「日本風」と「ゴシック・ホラー」だった。
「日本風」は文字通り和風の世界観。「ゴシックホラー」は主に19世紀西洋を舞台とした洋風の世界で、「ドラキュラ」「オペラ座の怪人」などが近いだろうか。全く真逆の世界観で、それら2つが合体するのは、なかなかに想像が難しい。

むしろ”不協和音”すら聞こえてきそうだ。
これまでのウィクロスを過去にする、そんな音が……。

COMING SOON…(2026.10 公開)