第4章:その部屋は誰のもの?

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3:「合体すればカッコいい!」

同年12月に開催された夢限少女杯本戦。大会形式は、セレクターポイント争奪戦を勝ち残った上位16人による一発勝負のトーナメント。大本命はやはり【リメンバ】や【サシェ】といった「青黒ハンデス」系だったが、優勝したシロネコ選手が使ったルリグは、何とノヴァ。デッキタイプ【ウトゥルスノヴァ】の名が示す通り、エースアタッカーはREUNION DIVAの目玉シグニ《融合せし極門 ウトゥルス//メモリア》だ。

《ウトゥルス//メモリア》は通常の方法では場に出せず、《融合の儀 ウムル//メモリア》か《融合の儀 タウィル//メモリア》の能力でのみ場に出せる特殊なシグニだ。《ウムル//メモリア》《タウィル//メモリア》2体がそれぞれ持つ起動能力を使い、この2体をトラッシュに置くことで、《ウトゥルス//メモリア》を手札またはトラッシュから出せる、というデザインになっている。《ウトゥルス//メモリア》を場に出すのに多くのカードを消費する分、基本パワーが15000と高く、出現時に白か黒のシグニ1体を蘇生でき、アタック時にサーバント回収するか、マイナス8000ができる、苦労に見合った能力を持っている。「レゾナ」や「ライズ」に近いデザインの、オンリーワンのシグニだ。

このロマンあふれるシグニに魅了され、多くのプレイヤーたちがデッキを組んだ。白または黒のルリグで、《ウムル》《タウィル》を揃えて《ウトゥルス》を出して戦っていくことになるため、これらのパーツを集めやすい能力を、特にセンタールリグが持っていることが望まれた。持つ当時はリメンバを筆頭に、サシェやグズ子など、様々なアプローチが行われたが、シロネコ選手が白羽の矢を立てたのが《運鳴 ノヴァ》だった。

このルリグの登場は5弾「CURIOSITY DIVA」と非常に古い。能力はアタック時に自身の下敷きを1枚ルリグトラッシュに置きながら、トラッシュの好きなシグニをデッキの一番上に置くくらいだ。自身では何のアドバンテージも得られない、当時では「古い」性能だ。

その「トラッシュのカードをデッキの一番上に置く」が、ウムルやタウィルと噛み合ったのだ。他にも《蒼天 ヘケト》でデッキトップを操作し、《ウムル//メモリア》の出現時能力で《タウィル//メモリア》を落として場に出し、損失を抑えながら《ウトゥルス//メモリア》へとつなげていく。シンプルながら、その基盤がしっかり強力だった。

22/12/04 夢限少女杯 セレクターポイント頂上決定戦優勝 シロネコ選手

《ウトゥルス//メモリア》は一度場に出てしまえば、当時はかなりのオーバースペックなシグニだった。パワー15000ゆえ《リメンバ//メモリア》や《H2O》をバトルでバニッシュできたり、アタック時にサーバント回収ができることも、デッキの耐久力を上げていた。サーバント回収はパワーマイナスと選べるため、デッキの火力も一定程度担保できる。そして何より、「カッコいいから」というシロネコ選手の言葉通り、とにかく「映える」シグニだったのだ。
夢限少女杯の対戦の様子はYouTubeで生配信されていたが、ロマン要素が強い《ウトゥルス//メモリア》が、夢限少女杯という大舞台で縦横無尽に活躍する姿にギャラリーは沸き立った。そんなロマンが詰まったシグニを率いるルリグがノヴァであり、その声優を担当していたのが、番組に出演していたウィクロスガールズ(当時)の和泉琴音さんだったこともまた、ボルテージを上げる要素だったのだ。シロネコ選手自身の陽気なパーソナリティも相まって、まさに「本日の主役」となった彼は、初代夢限少女へのスターダムを駆け上がっていった。

そんな《ウトゥルス//メモリア》と共に大活躍したシグニがもう1枚ある。
REUNION DIVAに収録された《羅菌 アメーバ》だ。

このカードが相手の効果で手札から捨てられた際、手札が2枚以下であれば1枚ドローできるという、青の下級シグニだ。青黒リメンバで手札破壊が飛び交うゲームの中、この「ハンデスメタ」は大いに輝いた。

当時のハンデスは《RANDOM BAD》や《蒼魔 マノミン》など、相手の手札を捨てる際に、こちらの手札やエナを1リソース失うデザインになっている。そこに対して《羅菌 アメーバ》を合わせると、相手のみがリソースを失う形になる。《翠美姫 コンテンポラ》でもハンデス対策はできるが、あちらは無色1エナがかかる。白が中心で1リソースの差がシビアな中、この1エナの有無は大きかった。

もちろん《羅菌 アメーバ》は【リメンバ】などにも採用され、この環境のハンデスメタとして活躍していた。だが、《運鳴 ノヴァ》での活躍はより鮮明で、鮮烈だった。《運鳴 ノヴァ》の能力でデッキの一番上に《羅菌 アメーバ》を置いておき、相手のハンデスに対して手札の《羅菌 アメーバ》を捨て、《羅菌 アメーバ》を引いて更にハンデスに備えたり、《羅菌 アメーバ》がレベル1シグニであることから《羅星姫 ミュウ//メモリア》で回収したりと、とにかく《羅菌 アメーバ》を使いこなしていたのだ。《ウトゥルス//メモリア》の活躍もあったが、それを支えたのは、間違いなくこの《羅菌 アメーバ》だといえよう。

夢限少女杯優勝者は、好きなルリグと共にイラスト化される。初代のシロネコ選手はノヴァを選んだ。
予選では紆余曲折こそあったが、無事に長きにわたる戦いが幕を閉じた。

タカラトミー公式サイトより。右下が夢限少女となったシロネコ選手

最終結果は優勝がノヴァで、準優勝はリメンバ、ベスト4はリメンバとサシェだった。分布を見ればリメンバ、サシェなどが目立つ中、チームエクスやミュウなどもいたり、《幻怪姫 翠子//メモリア》などを得た緑デッキからバンがいたりと、夢限少女杯ならではのメタゲームとなった。ただ、やはりこの「青黒白」系のデッキが環境の中心となったことはゆるぎない。夢限少女杯後は《ウトゥルス//メモリア》系のデッキも増えたようだが、おおよそのメタゲームの様相は変わらぬままであった。

何はともあれ、無事に全てのルリグがディーヴァセレクションに集結し、夢限少女杯も幕を閉じ、ディーセレはひとつの節目を迎えた……、ように見えた。あれ、何かお忘れでない?