キーセレクション環境になってなお、オールスターは強化がもたらされている。
例えばカーニバルキー、ミミック、白滅タマ・・・。思わぬシナジーをもたらしたり、意図的にオールスター環境を変えようと作られたり。直近に登場した<ぶりっつあーや!>や、やや以前に出た<黒点タマキー>は、まさにその象徴だ。そしてそれらを背に受けたルリグたちが、現在の環境を席巻している。例えば、<ぶりっつあーや>搭載の「紡ぐウリス」と、<黒点タマキー>搭載の「タウィル」。
まさにその2ルリグが、準決勝でぶつかった。
「匠ウリス」を使うのはゆきちゃん選手。秋葉原を拠点にプレーするマルチなプレイヤーだ。長く<紡ぐ者>を使っており、今回も絶賛流行中の「匠ウリス」で参戦している。トーナメント1回戦で筆者を粉砕した勢いそのまま、決勝まで駆け上がりたいところだ。
対する「黒点タウィル」を使うのはあまりりす選手だ。タウィルを長く使っているプレイヤーで、前回のイエサブセレモニーの覇者。「タウィルかわいい」を胸に、これまでの数多くの対戦相手を葬り去っていた。ルリグ相性としては紡ぐ者が有利なところだが、ジャイアントキリングを引き起こせるか。
先攻のゆきちゃん選手は2枚、あまりりす選手は3枚のマリガン。バトル慣れした両者に、会話は少ない。
オープンの合図とともに、準決勝の開幕だ。
ゆきちゃん選手(紡ぐウリス)VSあまりりす選手(タウィル)
(超重量級レベル5対決!)
ゆきちゃん選手の立ち上がりは滑らかだ。
エナチャージ、グロウ。<メイジ>を切ってコインを得て、<ハッカドール1号>から<ミヤコケシ>が登場だ。
<ミヤコケシ>が見せたデッキトップは、「匠」の象徴たる<エニグマ・オーラ>だ。ターンが渡る。
あまりりす選手もスムーズな動きだ。
<シェムハザ>をチャージし、グロウ。<ポセイドナ>を切って、そのまま<黒点タマキー>を展開。
ルリグとシグニが黒くなるキー。<シェムハザ>と赤青緑の天使を両立させることができるようになった、画期的な1枚だ。
<マスティマ>は外したが、そのまま<ヴァナディス>を置き、アタックフェイズ。シグニとルリグが通り、ターンエンドだ。5−7。
ゆきちゃん選手のターン。2ドローで手を止め、「チャージ考えますね」と伝えた。
匠ウリスはハッカドールズと<エニグマ>を採用している都合上、エナの管理が非常にシビアになっている。場のミヤコケシをエナに起き、レベル2へグロウ。コインを1枚得て、ゆきちゃん選手が早速仕掛けた。
「エニグマ」
(ウリスの十八番。2弾での登場以降、ウリスにはほぼ必ずお呼びがかかる)
短く伝える。残るエナは黒1で、グロウも問題ない。
続けて<ぶりっつあーや>をアンロックだ。<ヴァナディス>をデッキトップに飛ばし、<1号><オキクドール>と展開した。
アタックフェイズ。ルリグアタックが通れば、一気に3点回復だ。しかしあまりりす選手は、それを許さない。
「コグネ使いますね」
手札を2枚捨て、1コストで発動。正面が空いている<1号>を2体バニッシュし、要求と回復を抑えた。
エニグマのアタックで1点回復。そのアタックは通り、ターンエンドだ。ライフは6−6と、五分に整った。
あまりりす選手は<ポセイドナ>をチャージし、グロウ。
グロコストの支払いも、<黒点タマキー>にかかれば問題なしだ。<ヴァナディス>とサーバントを立ててアタックフェイズ。
ガラ空きの地上への要求を、ゆきちゃん選手はあっさり通す。<エニグマ>後ではよく見られる光景だ。
地上は全て通り、ルリグはガード。ゆきちゃん選手のエナが増え、ライフは3ー6。
(ゲームのどのタイミングでも発動できる、小回りの良さがウリ)
「うーん、そうねえ」とゆきちゃん選手が漏らした。
やや悩み、チャージを通過し、レベル3へグロウ。<2号>で<ウンテイ>を出し、場の<ヴァナディス>を焼くと、再びの<エニグマ・オーラ>だ。そのまま<3号>を出すと、効果で<ニホニンギョ>を加え、アタックフェイズに移った。
再びの回復チャンス。しかしあまりりす選手も防御で応じる。<黒点キー>のエクシード2で、要求となっていた<2号>を溶かした。これでシグニでのダメージは受けなくなる。
だが、<エニグマ>をまとったウリスは、その攻撃を止めない。場の2体のシグニをトラッシュに送り、2点回復。そのままルリグアタックが通り、5−5でターンエンドだ。またもやライフが五分に並ぶ。
あまりりす選手にターンが渡る。ここで大きく試合が動いた。レベル3へグロウ。
コインを得ると、手早くルリグデッキに手を掛ける。「ビカムユー」。一気にレベル4へグロウした。
「ビカムか・・・」と驚くゆきちゃん選手の眼前で、<シュブニグラ><マスティマ><ヘリオス>が一気に並ぶ。アタックフェイズ。先後が一気にひっくり返るも、ゆきちゃん選手はこれを通した。
<エニグマ>で回復したライフで受ける。バーストは<ミヤコケシ>と<メイジ>。「シグニ耐性、なあ・・・」と、<シュブニグラ>を見つめながら、<メイジ>のバーストで<シャテキ>を拾った。残りのシグニと、タウィルのアタックも通る。バーストからは<ニホニンギョ>。<オキクドール>がゆきちゃん選手の手札に入った。
エンドフェイズ。ライフは1−5と大きく動いたが、ゆきちゃん選手の手元には、潤沢なエナと、バーストで左うちわとなった手札が揃う。
(ダウン状態であればシグニ耐性を付与する。遊具基盤には強烈に刺さる1枚)
そしてまだまだ、ウリスは牙を剥く。
手札の<ニホニンギョ>をエナチャージし、レベル4へグロウ。出現時の効果で加わったのは、言うまでもなく<エニグマ・オーラ>。3度目の発動が、無慈悲にも宣言される。
とはいえあまりりす選手の盤面には、<シュブニグラ>によってシグニ耐性を得た天使が揃う。<ニホニンギョ>や<オキクドール>での要求は、実質できない。「耐性ねえ・・・」と苦い表情で、トラッシュと手札を入念に見ながら、次の手を考える。
とりあえず<3号>で手札を肥やす。<1号>が加わると、ウリスのコイン効果を起動だ。<ニホニンギョ>をデッキボトムに起き、サーバントを回収。エナゾーンには<ブラジャック>を用意した。そして、<シュブニグラ>の前に<ニホニンギョ>を、<マスティマ>の前に<オキクドール>を立て、アタックフェイズだ。
要求が通ると、<シュブニグラ>が<ニホニンギョ>にバトルでバニッシュされる。するとシグニ耐性を失い、<オキクドール>を起点に、遊具がくるくると動き出す。
のであれば、あまりりす選手が取る手段はひとつ。<黒点タマキー>のエクシードで、<オキクドール>を溶かした。「どうぞ」と手を差し出す。応じると、<ニホニンギョ>を踏み、ルリグアタック。2点回復。ガード。ライフクロスは3−5と、ゆきちゃん選手が遅れる形となる。が、紡ぐ者にとっての「3点」は、潤沢すぎる枚数にも思える。くるくるとライフクロスが飛び回るバトル。レベル5のグロウを持って、後半戦へと突入だ。
(出現時とコイン技を合わせて4アド。レベル5への経由地として非常に優秀)
あまりりす選手のターン。<マスティマ>をエナに置き、レベル5へグロウ。12弾から戦い続ける古参ルリグの1人だ。
まずは下敷きの効果。ゆきちゃん選手の場にシグニはいないが、デッキから7枚の天使をトラッシュに送り、トラッシュを肥やした。
そして<シェムハザ>。デッキから<ポセイドナ>。下敷きに<シュブニグラ>を吸うと、前ターンから残る<マスティマ>とともに、アタックフェイズだ。
タウィルにとって最後の要求のチャンス。しかし9枚のエナを抱えたウリスは、悠々と<フォーカラー・マイアズマ>で防御に応じた。下敷きを持つ<ポセイドナ>を溶かし、<マスティマ>の正面に<2号>を蘇生。ウリスだからこその3モード目で、<ジルドレイ>を手札に寄せた。そして<2号>が<シャテキ>を呼びつつ、<マスティマ>を焼き払った。
防御が終わり、残る<シェムハザ>が正面の<シャテキ>を飛ばしつつ、1点。ルリグは防がれ、ウリスはライフを2枚抱えて、レベル5へのグロウを迎えることとなった。ターンエンド。2−5。
(一時期はリワトに席を渡していたが、<シェムハザ>の登場で、再度「タウィル」にスポットが当たった)
ウリスの姿が、<紡ぐ者>へと姿を変える。
グロウコストの5エナを払っても、エナはなお4枚。余力を残した盤石の状態で、遊具のデッキが一気に動き出す。
まずはボードに<ブラジャック>。トラッシュから<ニホニンギョ>を蘇生させ、<ニホニンギョ>を拾った。そして<ミヤコケシ>をひねって手札を伸ばし、場の遊具を3枚、トラッシュに送る。リムーブではなく、レゾナンス。レベル5レゾナ、<フラコスタ>がルリグデッキから登場だ。
遊具に完全耐性を与え、連続攻撃を確実なものとするアイヤイ限定のレゾナシグニ。規格外の連続攻撃を持つグズ子限定の<ブラジャック>との両立は、紡ぐ者だからこそできるドリームタッグだ。レゾナの出現条件のために「場からトラッシュにシグニを送る」行為も、リムーブ権を行使せずに次の<ブラジャック>を場に出すための布石となる。<紡ぐ者>が登場して3年。ここに来て環境トップの一角を担うこととなった所以が、全て詰まっているのだ。
空いた場に後続の<ブラジャック>が登場する。釣り上げたのは<オキクドール>。正面の<シェムハザ>のパワーを4000にし、アタックフェイズだ。完全耐性は<オキクドール>。動けば、デッキから<ニホニンギョ>が飛び出し、アタックと同時に4000となった<シェムハザ>を溶かし、トラッシュから次の<ブラジャック>を呼ぶこととなる。あまりりす選手が口元に手をやり、困った表情を浮かべた。
(まさに「史上最強のレベル5」。火力、制圧力、リソース獲得能力は、全シグニでも随一)
タウィルのコイン技を使う。コイン1枚を支払い、7種類の天使をデッキに戻す。もう一つの起点となりうる<ブラジャック>をトラッシュに送った。
入念にデッキをシャッフルし、「どうぞ」と伝える。抱えるライフクロスは5枚。通しても問題ないと判断したのだろうか。遊具が動く。
まずは<フラコスタ>がアタック。バーストは<ジルコニウム>で2ドロー。2-4。
<オキクドール>がアタックし、自身の効果で<ニホニンギョ>をデッキから呼ぶ。効果で<ブラジャック>を確保。そして<ニホニンギョ>がアタック。パワー4000となった<シェムハザ>を自身と溶かしながら、トラッシュから<ブラジャック>を呼び出した。
「出せないから……」とトラッシュと手札を見やりながら、<ブラジャック>の出現時効果で<ニホニンギョ>を蘇生させ、その効果で別の<ブラジャック>を手札に呼び込む。蘇生した<ニホニンギョ>で、もう1点。2-3。
攻撃はまだまだ止まらない。そして蘇生した<ブラジャック>がアタックすると同時に、<ニホニンギョ><フラコスタ>をバニッシュ。入れ替わりでトラッシュから飛び出したのは、2体の<ミヤコケシ>。ブラジャックの攻撃が通る。2-2。そして蘇生した<ミヤコケシ>でワン、ツー。
といきたかったが、1体目のアタックで、バーストから<ガブリエルト>が登場。遅かったのか、しかし1点を救われたのか。ルリグはガードされ、2-1でターンを終えた。
「……納税忘れましたわ」と、<紡ぐ者>のルリグ効果を使い忘れたことに今気づく。グロウした直後のターンだと、起こりうるうっかりミスだ。ターンエンド。
多くのライフクロスを犠牲に、ファーストアプローチを何とか乗り切ったあまりりす選手。
「エナチャージは……」としばし悩み、通過してメインフェイズへ移った。場には<ブラジャック>。手札以外からの効果による場出しが禁じられており、<シェムハザ>によるリクルートが使えない状況だ。しかし、うろたえる様子は一切ない。息を整え、迷いなく天使を動かしていく。
まずは<ナキールン>。効果でダウンし<ガブリエルト>をサーチ。続けて<黒アークホールド>。<ナキールン>をトラッシュに送り、<黒点タマキー>で黒になったサーバントをサーチ。そして<ポセイドナ>。トラッシュの<ナキールン>を下敷きにし、その効果で<シェムハザ>をサーチ。よどみなく動く。手札から<アポロシン>。<ブラジャック>を出現時効果で焼き、<ポセイドナ><アークホールド>をリムーブだ。
サーチした<シェムハザ>が場に出て、デッキから別の<シェムハザ>を呼び出す。くるくるくるくる、天使が躍る。アタックフェイズ。トラッシュの<ジルコニウム>の効果で、黒になったサーバントを含む10種のシグニをデッキに戻す。場が埋まっていても<ジルコニウム>の効果を使い、デッキを回復させる。サーバントもそれに含ませることができるのが、<黒点タマキー>の圧倒的な強みだ。ただでさえ高いタウィルの防御力が、一段と、より一段と高まる。
(ノーコストアタックトリガーとルリグ耐性をばら撒く。出現時リクルートもあり、タウィルの新たな主力となった1枚)
だがそれは、<紡ぐ者>に対しては、大きな枷ともなる。
ゆきちゃん選手はトラッシュの<コードアンチ メイジ>を起動。残り1枚となったデッキに、<オキクドール>や<ニホニンギョ>を戻していく。<シェムハザ>の正面に<メイジ>が立つ。「どうぞ」と通した。
3体の天使が<メイジ>を戻しつつ、一斉にアタック。ゆきちゃん選手は3枚の黒シグニを捨て、全ての攻撃を受け流した。<紡ぐ者>が持つ、「アタックしたシグニと同じ色のシグニを捨てることで、その攻撃を無効にする」効果。あまりりす選手のシグニはみな、<黒点タマキー>の支配下にあるがゆえの黒色。紡ぐウリスがメインカラーとしている黒色だ。防ぐ手段はわんさかとある。
これではほぼ、地上からの攻撃は通らない。納税忘れのルリグアタックのみが通り、ターンエンド。1-1。
(<黒点タマキー>を採用すると、紡ぐ者の効果で攻撃がほぼ通らなくなる)
ゆきちゃん選手にターンが渡る。
エナチャージから、<紡ぐ者>の効果を発動。<1号>から<オキクドール>で<シェムハザ>のパワーを4000にした。2枚目の<オキクドール>を手札から出し、もう1体の<シェムハザ>のパワーも4000に。そして場の3体で<フラコスタ>をレゾナンスだ。起動効果で<アポロシン>をエナに送る。
そして、<ブラジャック>から<ニホニンギョ>を蘇生させ、<ブラジャック>を回収。アタックフェイズだ。「……これでいいんだっけ?違うくね?」と、自らのプレイに首をかしげつつも、完全耐性を<ニホニンギョ>に付与する。トラッシュの<メイジ>の効果で、<ニホニンギョ><オキク><シャテキ><1号>をデッキに戻した。
あまりりす選手はあっさりと<クトゥル・アビス>で応じる。<ブラジャック>を除去し、<アポロシン>を再び蘇生した。パワーが2000アップし、<シェムハザ>たちが<ニホニンギョ>のエサになることがなくなった。
ルリグアタックも<アビス>に止められる、ゆきちゃん選手は残るシグニで<シェムハザ>たちを踏むしかない。
「普通にガバった……」と漏らしながら、軽く頭を振り、ターンを渡した。予選5回戦、決勝トーナメントは2回戦。集中力も体力も落ちつつある。なるべく早く決着をつけたいところだが、それを許すタウィルではない。
(ダウン耐性はもちろん、パワーアップが地味に強力。今回のような役立ち方もある)
ライフは1-1と変わらないまま、あまりりす選手にターンが渡る。
<ジルコニウム>をチャージし、タウィルの起動効果でデッキから天使をトラッシュに送り、<ニホニンギョ>を除去。エナ2、手札4と、じわりじわりと、<紡ぐ者>のリソースを削っていく。しかし<黒点キー>ゆえに、あまりりす選手の攻め手がほぼない。厳しい表情でトラッシュをにらみながら、次の手を探す。
手札の<ポセイドナ>を<フラコスタ>の正面に置き、<ヘリオス>を敷いて、さらに効果で<アポロシン>を敷いた。合わせて<シュブニグラ>を立てて、アタックフェイズ。要求は2面のみのやや控えめな盤面。リソース奪取にかかっているのだろうか。
狙い通り、ゆきちゃん選手は<ぶりっつあーや>のエクシード2を発動。<シュブニグラ>をダウン凍結しつつ、エクシードコストでルリグトラッシュに置かれたレベル3ウリスの効果で、次の<ブラジャック>を拾った。<ポセイドナ>のアタックは手札の黒シグニに、ルリグアタックは<紡ぐ者>の効果によりシャットアウト。ライフは変わらず、ターンエンド。タウィルが<マスティマ>を拾った。
こう着状態が続く。ゆきちゃん選手のターン。<エニグマ>をチャージし、フラコスタの効果で<アポロシン>をエナに送りつつ、1エナチャージ。エナゾーンに置かれた<オキクドール>を前に、「……どうしてそんなことをするかなあ」と、己を呪った。長丁場になると、どうしてもミスが浮かぶものなのだろう。
「しょうがないなあ……」とリカバリに走る。<ジルドレイ>を出現させ、あまりりす選手のルリグトラッシュにある<クトゥル・アビス>を奪った。<シュブニグラ>をトラッシュに送り、その正面に<ブラジャック>を蘇生する。そしてルリグ効果を起動。アタックフェイズ。<ブラジャック>が耐性を持つ。<紡ぐ者>にしては珍しく、やや淡白な要求だ。とはいえ<ブラジャック>が通ると厄介なことになる。何らかの防御は突きつけられていえるはずだ。
その通りに、あまりりす選手が防御で応じる。<ポセイドナ>の下敷きにある<ヘリオス>の効果で、下敷きを2枚抜いて<ジルドレイ>をバニッシュ。そしてタウィルのコイン技で<フラコスタ>をトラッシュに送った。場に残るは<ブラジャック>のみ。得意の連続攻撃は、隣がいなければ起こらない。
そのアタックも、タウィルの効果ではばまれる。天使2枚がトラッシュに送られ、続くルリグアタックも、サーバントに防がれる。またもライフが変わらず、ターンエンド。
(<ポセイドナ>と組み合わせることで防御が可能に。<ザロウ>の先輩的ポジション?)
あまりりす選手のターン。天使たちが盤面を立て直す。
場のポセイドナを<エナチャージ>し、<ナキールン>から<シェムハザ>をサーチ。タウィルの効果で天使を7枚トラッシュに置き、<ブラジャック>を除去。そして<シェムハザ>から、<シュブニグラ>だ。アタックフェイズ。短く盤面を整えての要求も、しかし<黒点キー>で届かない。
ゆきちゃん選手は<メイジ>を蘇生させる。<シェムハザ>の効果を得た天使たちが、正面のシグニをバウンスしながら攻めていく。しかしその攻撃は、戻されたシグニをトラッシュに送られることで、あっさりと防がれていく。ゆきちゃん選手はライフを1点受けるのみで、あとは全て手札で防ぐ。0-1。あまりりす選手の手札には<シェムハザ>が入る。
そして紡ぐ者のターン。しかし紡ぐ側も、リソースが心もとない。ドローフェイズを終え、エナ1手札5と、潤沢とはいいがたい状況だ。
エナチャージを飛ばし、<ブラジャック>を場に出す。蘇生は<1号>で、手札からは<シャテキ>。1ドロー2エナチャージで、減ったリソースを取り戻しつつ、残りのデッキは1枚だ。
お決まりの動きが続く。場の3体で<フラコスタ>。そして<ブラジャック>。<ニホニンギョ>を蘇生させ、次の<ブラジャック>を回収。ルリグ効果を起動し、アタックフェイズ。完全耐性は、やはり<ブラジャック>だ。
あまりりす選手はコイン技で<フラコスタ>を除去。これのみで、アタックを通した。
<ブラジャック>が正面の<シュブニグラ>を狙って動き出す。アタックと同時に、隣のニホニンギョを焼いて、トラッシュから<オキクドール>を蘇生させて……。手が止まった。
「あー……、トリガー能力が先か……。そうだよな……。ひどいな……」
正面の<シュブニグラ>が場を離れる前に、トラッシュから遊具が蘇生し、出現時の効果を使う、という処理順になる。シグニ効果を受けないダウン状態の天使たちには、<オキクドール>のパワー修正が届かない。
ため息一つ。<ニホニンギョ>を蘇生させ、<ブラジャック>を回収しつつ、<シュブニグラ>を吹き飛ばした。続く<シェムハザ>も<ニホニンギョ>でバニッシュ。ルリグアタックは……、防がれる。0-1。
(<ニホニンギョ>のアタック時効果がトリガーするタイミングでは、まだ<シュブニグラ>の耐性が残っている、ということ)
「さっきからどうも……」と首をかしげるゆきちゃん選手。長丁場でスタミナ切れが近いのか、思うようなプレイングができていない様子。一方のあまりりす選手は、表情一つ動かさず、背筋をすっと伸ばし、天使を動かす。ターンを受け取っても、その動きに迷いはない。
手札から<リンゼ>をエナチャージ。タウィルの起動効果で7種類の天使をトラッシュに置き、<ブラジャック>を除去。手札から<シェムハザ>。<ポセイドナ>を呼び、<シュブニグラ>を下に。<アポロシン>を手札から出し、最後の<ニホニンギョ>を除去すると、それをリムーブしてアタックフェイズ。滑らかだ。
空いたシグニゾーンを、<ジルコニウム>の蘇生で埋める。無限防御に近いかのように見える<紡ぐ者>だが、手札がなければその効果は使えない。手札をはぎ取り、返す手を奪い、じわりじわりと追い詰めていく。
気圧されつつあるゆきちゃん選手は、<ぶりっつあーや>で<ジルコニウム>をダウン凍結させ、たまらずルリグデッキに手をかけた。最後の1枚は、<奇跡世代>。
<シュブニグラ>を敷く<ポセイドナ>をエナに送り、次のアタックを無効にする。あまりりす選手は少し考え、「無効にされるなら……、エンドですね」と、<シェムハザ>を回収し、ターンを渡した。
両者のルリグデッキが尽きた。残る防御手段は、タウィルのコイン1枚と、両者の手札のみ。
ゆきちゃん選手はターンを迎え、ドローするとリフレッシュ。このタイミングでトラッシュが消える。トラッシュが消えると<ブラジャック>からの連続攻撃が鈍ってしまう。制圧と連続攻撃を得意とする<ブラジャック>ではあるが、ここに来てそれが、薄れるかのように思えた。
だが、デッキが肥えてしまえば、それで問題はないのだ。
ルリグの起動効果でエナの<ニホニンギョ>ををトラッシュに送り、<ブラジャック>のお供をスタンバイ。<1号>からの<オキクドール>で手札を肥やし、<シェムハザ>のパワーを4000にする。手札の<ウンテイ>を場に出すと、何度目かのレゾナで<フラコスタ>だ。
<ジルコニウム>をエナに送り、チャージ。<ブラジャック>から、<オキクドール>。もう一度<シェムハザ>を選択し、アタックフェイズ。「<オキク>完全耐性で」と伝えると同時に、タイムアップのコールがなされた。
(<紡ぐ者>で使えば、<ブラジャック>が完全耐性を持つようになる。まさにドリームコンボ)
エクストラターンに突入する。このアタックフェイズを含んで、両者残り2ターン。
あまりりす選手が観念したかのように、最後のコインを支払った。タウィルの手札は、残り3枚。
トラッシュの7枚をデッキに戻し、<ブラジャック>をトラッシュに送る。できるアクションはこれだけだ。
<フラコスタ>のアタックを、天使2枚で防ぐ。ライフも手札も、残り1枚。普通のシグニが相手であれば、返すターンが訪れたはずだ。残るシグニが、完全耐性のオキクドールでなければ、だ。
<オキクドール>がアタックする。自身がトラッシュに行き、デッキから<ニホニンギョ>を呼ぶ。そして<ニホニンギョ>が、<シェムハザ>とともに溶けると、<ブラジャック>を釣り上げる。<ブラジャック>が後続を呼ぶ。
回り続ける遊具を前に、天使たちはとうとう、力尽きたのであった。
勝者 ゆきちゃん選手