第3章~おかえり、セレクター

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2:ビートダウンのメタゲームに一石

……そして同年12月に「WELCOME BACK DIVA ~Lostorage~」が発売。
前弾に続く「おかえり、セレクター」の商品で、ロストレージシリーズからリル、あや、ドーナがセンタールリグとして、メル、ナナシがアシストルリグとして登場。あわせてDIVAシリーズからまほまほがセンタールリグとして登場した。

ウィクロス公式サイトから

「Lostorage」シリーズを象徴するアイテム「コイン」がディーセレで初めて実装されたこの弾だが、その存在感はさほど大きくなかった。コインを持つルリグは最大5枚までしか得られず、6枚目以降のコインを得る手段は主にアシストルリグだったこともあるが、存在感が小さい理由は、「コインの使い道がさほどなかった」だろうか。

キーセレクションでは「キーカード」があったり、オールスターではアーツの「ベット」の要素こそあったが、ディーセレのコインの使い道は原則シグニとスペルのみ。「ベット」することで能力を強化したり、カードの発動コストにコインを求められるものこそあったが、コインの消費枚数に見合ったリターンはさほどなかった。

中にはコインを1度に3枚消費するカードもあり、その能力は消費量に見合ったものではあったが、6枚目以降のコインが得られにくいこともあって実質的なゲーム1能力となるなど、使いにくさが目立っていた。その傾向は最後まで変わらず、後に【闘争派】が登場するまで、コインは地味な要素だったという評価に落ち着いている。これを受けてか、2026年7月に登場した「Lostorage SELECTOR」では、メインデッキでコインを消費するに値する能力を持つシグニが多数収録。ロストレージ組が初期コインを持つ強みが発揮されている。

そんな当時でも、コインを有効活用できるカードは少なくはなく、コインを武器にしたデッキも活躍した。
代表的なのはこの弾で登場した《でじたるあーや!Ⅲ》をセンタールリグに据えた【青白あや】【青単あや】だろう。

《でじたるあーや!Ⅲ》や《RANDOM BAD》、《蒼魔 マノミン》での手札破壊と並行して、《聖将姫//メモリア》や《大装 ゲイヴォルグ》でエナを与えない除去を行い、リソースを絞っていくコントロール戦術を得意とする。ガードは《Garden of Singularity》で行い、相手をじわじわと追い込んでいくデッキだ。

同弾発売直後から徐々にセレモニーでの入賞が目立ち、コントロール戦術を好むプレイヤーの間で広がっていった。「青白コントロール」系のデッキは4弾の《ノンストップ Dr.タマゴ》軸デッキが関西で流行したが、全国的に知名度を上げ、一定の入賞を見せたのは、コロナ禍によるセレモニーの開催可否もあれど、この【青白あや】が初めてといえるだろう。デウスやエクスが跋扈し、「ディーセレはビートダウンが基本」という常識が広がっていった中、そこに一石を投じたという意味でも、節目となるデッキだ。主力シグニとして採用された《大装 ゲイヴォルグ》は特に評価を上げ、後の《共宴の巫女 リメンバ・ディナー》の登場で、更に評価を上げることとなる。

そして、センタールリグよりアシストルリグのほうが輝いた弾である。
《メル・インビシブル》はマドカの《マドカ//クラップ》や《MC.LION DISRESPECT》に次ぐ3面防御のアシストルリグとして、登場以降長きにわたって大活躍。ダウン耐性や「新たに得られない」シグニの攻撃を防ぐアシストルリグとして、アーツの導入まで多くのプレイヤーのライフクロスを守り続けることとなる。
ナナシの《ナナシ・ご選択》は玄人好みのアシストルリグとして注目を集めた。レベル1アシストルリグでばら撒いた【ウィルス】を元手に、3つのモードを選ぶ能力。メインフェイズのみのグロウや、3つから1つを選ぶという難しさもあったが、唯一無二の挙動からこのアシストルリグを愛するプレイヤーも少なくなかった。

またこの弾では、トップメタの【デウス】や【エクス】のメインデッキでも、小さくない動きが起こっていた。

《幻獣神 サラブレッド》は《幻獣 テングザル》のコンボで注目。《サラブレッド》の能力で《テングザル》のパワーを上昇させ、ダウン耐性を持たせる動きがここで確立。《マドカ//クラップ》を貫通するパッケージとして【チームエクス】のみならず【チームデウス】にも取り込まれ、特にデウスは《Trigger of Victory》や《デウス・スリー》のエクシード3で必要パーツを集められる安定感も、デッキの強みとして成立した。このデウスは「原子デウスの防御を破壊するデウス」から【破壊デウス】と呼ばれ始め、【原子デウス】の文字通り「対抗馬」として台頭し始める。

破壊される側になった【原子デウス】側も黙ってはおらず、マドカのレベル2を《マドカ//ダブ》にし、大型防御を《メル・インビシブル》に換装したデッキも登場。「原子デウスを破壊するデウスを破壊する原子デウス」の略称で【破壊デウス破壊デウス】と呼ばれたり、呼ばれなかったりした。これはさすがに緑エナが《キントキ》などのエナ破壊の餌食になってしまったこともあり、実用性はさほど高くはなかったが、セレモニーでも入賞実績があり、それほどまでにデウスとデウス、時々エクスとの間でメタゲームが展開されていったことを象徴している。筆者は当時の公式コラム「ウィクロスアカデミー」で、「ディーセレDはデウス様のD!」と見出しに取ったほどで、デウスはディーセレの中心に立ち続けていたのだった。

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