もりあ杯・カバレージ(準決勝)

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数々のルリグが強化された「アンリミテッドセレクター」。中でもサシェは、その強化を受け、一気にトップクラスの実力を得たルリグの1人だ。もともと<フルムーン>によるコントロールで戦っていたが、<ジ・アース>の超宇宙級な効果で、攻撃的なルリグとして暴れ出した。
代名詞は「ジ・アースにダブクラアサシン、ルリグシグニアーツ耐性〜ノーザンセブンを添えて〜」。良くて致命傷、悪くてゲームエンドな必殺技をひっさげ、数多くのルリグを吹き飛ばしてきた。

「そんなもの、鯖に変えてしまえばいいのよ」
そんな平然と言い放つ、1人のルリグがいた。白と赤、宇宙最強決定戦の開幕だ。

サシェ(こあら選手)VSカーニバル(かんでこ選手)

(新旧宇宙対決!)

準決勝の試合開始を、こあら選手は不安そうに待っていた。あと2つで優勝という舞台は、やはり誰もが緊張するものだろうか。
試合の見所は、カーニバルの堅牢な防御をサシェがいかに貫くか。筆者もサシェを愛用する身として、その瞬間をぜひ間近で見届けたいところだが、なかなか難しいことはよくわかっている。こあら選手のプレイングに期待したいところだ。
一方、対峙するカーニバルを操るのはかんでこ選手。数々のハンドルネームで、各地のセレモニーで輝かしい実績を積み重ねた、百戦錬磨のプレイヤーだ。かんでこ選手は緊張などどこ吹く風で、ゆったりと試合開始の合図を待っている。「ばこさん、カバレージ書いてくれるん?」と、方言交じりの言葉をかけてくれた。
場の空気が少し和む。と同時に、「オープン!」の掛け声が響き、試合が始まった。

先攻はかんでこ選手。エナチャージしてグロウ。コインを得て<カニキー>発動という、カーニバルの初動で試合が始まった。
「んー」とうなりながら、<タネガスペ>2枚を手札に加えた。「あー、そうね。あっそうね、はいはいはい」と小さく呟きながら、ライフバーストも念入りに確認する。かんでこ選手はどこか楽しげだ。
デッキをしっかり確認し、<タネガスペ>2枚を場に出す。<ノベアン>とサーバントを手札に加え、ターンを渡した。


(「シグニ書き換え」というカーニバルの能力を有するキー。使い勝手抜群)

後攻はこあら選手。<ルクパト>をエナチャージして、レベル1へグロウ。
<ツクスペ>の起動効果を成功させ、<カプスワン>を立ててアタックフェイズへ。<カプスワン>のアタックで、かんでこ選手のライフからは<オタガメ>が現れた。手札が入れ替わり、ルリグアタックはガード。7−6。

かんでこ選手はエナチャージからグロウ。ここで、エナの色は赤青だ。
<コニプラ>のエナチャージで<ウラタロ>がエナゾーンに。「あら」と短く呟くと、<コニプラ>をリムーブし、再び<コニプラ>を出現。無事に<サーバントQ>がエナゾーンに送られ、次のターンのエナフェイズと合わせて、グロウとコインに必要な赤3を確保した。
パワー1000の<ツクスペ>の前に<ケプリ>を場に出し、アタックフェイズ。こあら選手はこれを通した。


(エナゾーンに置かれたサーバントがこちら。青を基調とした背景が美しい)

<コニプラ>で<カプスワン>を踏む。<ケプリ>の効果は失敗に終わるも、<タネガスペ>とルリグアタックが通った。
こあら選手のエナゾーンは、ライフクロスからも飛び出した<ツクスペ>に溢れている。5−6。

こあら選手がレベル2へグロウ。リミットは5。エナは赤3白2だ。
まず、サシェが動く。<マルカブ><リンゼ>をコストに<マーズ>を呼び出すと、デッキから<カプスワン>をリクルート。そのまま<ミルキィ>を切って、<マルカブ>を呼び出すと、ドローモードを選んだ。
アタックフェイズへ入る。間髪入れずに「ターンエンド」を宣言した。

「あれ?」「あれ?」と2人を首をかしげる。

ターンは渡り、かんでこ選手のドローフェイズ。沈黙ののちに、「あ」とこあら選手が漏らした。
「さっきエナに行ったのマルチですか?」「マルチですよ」「青かと思った・・・」と、コングラ版の<サーバントQ>を、青エナと勘違いしていたようだ。通常であれば、ここで<マルカブ>を絡めて2点は取りたいところだが、このプレイミスは非常に大きな影響を与えそうだ。

とはいえ、エナを絞ることができたという考え方もある。開始から数分、試合が大きく動いた。


(コインを得るには追加で赤1が必要。<コニプラ>とライフバースト次第で、その確保が難しくなることも)

定石通り、かんでこ選手がレベル3へグロウし、コインを得る。
<ノベアン>でシグニを除去しアタックへ。そのままライフが割れると、<リゲルル>が飛び出した。何かが手札に入り、ルリグアタックはガード。4−6。

巻き返したいこあら選手は、ここで大きく動く。<マーズ>をエナチャージでルリグトラッシュに送り、レベル3へグロウ。

コインを得て、その流れで<ビカム・ユー>を発動し、立て続けにグロウした。先後を入れ替える強烈なアーツ。サシェが一足先に、レベル4へグロウした。
<カプスワン><マルカブ>で<マーズ>を呼ぶと、サシェ効果で1ドロー1エナチャージ。マーズが呼んだ<ミモザ>が<マルカブ>を呼び、その<マルカブ>が<タネガスペ>を飛ばした。まずは1面だ。
そして<スター・フェスティバル>。<マーズ>をルリグデッキに戻しつつ<ノベアン>をバウンスだ。そして場の2枚で、再び<マーズ>をレゾナンス。4枚目の<ツクスペ>をリクルートし、手札から<ピクター>を添えてアタックへ。鮮やかな2面要求だ。
かんでこ選手は受けるだけだが、ライフクロスからは何も出ない。サシェのアタックは防ぎ、ライフクロスは4−4へと並んだ。


(序盤、中盤、終盤までフル稼働。リクルートするシグニには一切の制限がない)

先後が入れ替わり、遅れてカーニバルが4へグロウ。<インパクト><ジルコニウム>が手札に加わった。
先ほど手札に戻った2枚の<ノベアン>が<マーズ>以外を焼く。<マーズ>の正面に<ジルコニウム>を立てると、かんでこ選手が手を止めた。「考えます」と口元に手を寄せる。トラッシュを入念に確認しつつ、次のターンの展開を読んでいるようだ。
かんでこ選手のエナは少ない。このターン、サシェのコイン技を使われることはほぼ確実で、1度のアタックにつき2エナ、ないし4エナを要求される。シグニでのアタックは不可能だ。返しのターンでこあら選手がグロウし、<ジ・アース>を叩きつけてくるのであれば、それを見越した盤面形成が必要になる。
要は、「<ジ・アース>でリミット5にされた時に、いかに適切にシグニをトラッシュに送ったり、<カニキー>の書き換えができるか」だ。

かんでこ選手は<ノベアン>1枚をリムーブし、<タネガスペ>に変えてアタックフェイズに入った。盤面はレベル1、レベル3、レベル4。
こあら選手はコイン技でシグニからの被弾を0にした。ルリグアタックは通り、3−4だ。


(コイン技でアタックに2エナを要求する。重ねがけが可能で、1度のアタックで4エナが必要に)

さあ、<ジ・アース>のお出ましだ。
マーズがルリグデッキに戻ると、サシェがレベル5へグロウ。<リゲルル><リゲルル>で<マーズ>を作ると、2枚サーチしつつ、<ピクター>をリクルートだ。手札には<アルケス><スター・フェスティバル>が加わったのが見えた。
<ピクター>の宣言は当たらなかったが、手札から<ルクパト>が現れる。場の2枚と、エナの宇宙たちがトラッシュに送られ、とうとう<ジ・アース>が出現した。
かんでこ選手のルリグのリミットは5に。<ジルコニウム><タネガスペ>を残し、備えた。

こあら選手は手を止めない。<リンゼ>に<スター・フェスティバル>を当て、<カプスワン>をサーチし、出現。
場のシグニのレベルを1、1、5に整え、アタックフェイズに移行した。エナゾーンには、レベル1と2のシグニしかいない。こちらも、カーニバルのルリグ効果を見越した立ち回りだ。
かんでこ選手はコイン技で、場の<カプスワン>とエナの<リンゼ>をトラッシュに送った。そして<マーズ>を<ジルコニウム>で除去すると、<ジ・アース>の一撃を受ける道を選んだ。2枚のライフクロスが割れる。エナチャージサーバントと<ヒミコ>が発動し、ルリグアタックはガード。3−2でターンを迎えた。


(ダブクラアサシン、相手のリミットは5。コストも効果も超ド級)

かんでこ選手は手札から<ホルス>をチャージし、レベル5へグロウ。支払う赤2も、トラッシュと照らし合わせて慎重に選んだ。手札をじっと見て<インパクト>を出すと、これだけでアタックフェイズへ入った。
こあら選手からの防御は何もない。<インパクト>のアタックで、ライフバーストから<リゲルル>が飛び出す。続けて<タネガスペ>のアタックでもう1枚。ルリグアタックをスキップし、ターンエンド。1−2だ。

2ドローを経て、こあら選手のデッキは残り1枚。「これでいいんだっけ?」と首を傾げながら、エナチャージで<ジ・アース>を畳んだ。手札から<アルケス><ルクパト><ミルキィウェイ>を並べ、エナの2枚の宇宙と合わせて、再び<ジ・アース>が降臨。今回はシグニ耐性のみだ。
「いやーきつい」と漏らしながら、<ノーザンセブン>を添えてアタックフェイズへ。<ノーザンセブン>が場のシグニにバニッシュ耐性を、<ジ・アース>がダブクラアサシンを付与する。が、ルリグ耐性を持たない<ジ・アース>は、無慈悲にも<サーバントZERO>に書き換えられた。
「アサシンダブクラ、ねえ・・・」と、かんでこ選手が漏らす。リミット減少から解放されたといはいえ、バニッシュ耐性とダブクラアサシンをを持った<ノーザンセブン>が脅威だ。<ジルコニウム>を絡めた動きでは、ノーザンセブンが止まらない。加えて、「<ラアー>がまだ見えてないんよね」と、首を傾げている。
「<マルカブ>いるからリフレッシュケアしないといけんし、アサシン消せるし、これでいいんじゃね?仕方ない」と、<鎧終一触>を発動。<サーバントZERO>となった<ノーザンセブン>の前に<ジルコニウム>を呼び出し、要求を通した。こあら選手のシグニは全て阻まれ、ルリグアタックもガード。ライフは1−2と動かなかった。


(相手のシグニをサーバントZERO化する、カーニバルの代名詞。登場当初は注目されなかった)

かんでこ選手のターン。<ジ・アース>が復活し、リミット超過で<インパクト>がトラッシュに落ちる。
<ジルコニウム>をチャージし、<ダイホウイカ>を<ノーザンセブン>の正面に立て、アタックフェイズ。<ノーザン>を<サーバントZERO>に書き換え、<ダイホウイカ>が手札を潤した。「こちらからは何もなし」と、さらっと伝えた。
その要求を、こあら選手は温存していた<ナンバー・バインド>で迎え撃つ。シグニのアタックが全て止まったかんでこ選手は、ルリグアタックせずにターンエンド。手札超過で<ラアー>が落ちた。

こあら選手のターン。リフレッシュでライフが尽きる。「正解がわかんねえ」と手札をテーブルに置いて、苦い表情を浮かべていた。エナには宇宙が2枚。リソースはかつかつだ。じわじわと、しかし確実に追い込まれている。
「これが正しいのかな?」とエナチャージも飛ばし、何も変わらない盤面でアタックフェイズへ入った。<ノーザンセブン>がバニッシュ耐性を、<ジ・アース>がダブクラアサシンを付与する。だが、最後のピースをトラッシュに置いたカーニバルに隙はなかった。ルリグのコイン技で<鎧終一触>をフルパワーで発動。全てのシグニが<サーバントZERO>になると、<カニキー>が<ダイホウイカ>を<ラアー>に書き換え、サーバントはトラッシュへ。赤宇宙の、一切の慈悲もない防御が、白の宇宙に襲い掛かった。
サシェのルリグアタックは通り、バーストからは<ジルコニウム>。手札が潤い、ライフは0−1だ。かんでこ選手にターンが渡る。


(「トラッシュ送り」がミソ。リソースを絞り、反撃も防御も許さない、のじゃ)

「あのエナの量なら、エクシード2から何か出して終わりでしょう」と、かんでこ選手が勝ち筋を見切る。場の<タネガスペ>をエナチャージし、<ケプリ><ウラタロ>でアタックフェイズへ。「そちらの手札が5枚なので、1枚ハンデスですね」と、<ウラタロ>の効果を突きつけた。
「うわ、きつい・・・!」と、こあら選手は苦悶の表情で<アルケス>を捨てる。かんでこ選手の読み通り、エクシード2で<マーズ><ジ・アース>を呼び出した。
<ケプリ>の前に<マーズ>を、<ダイホウイカ>の前に<ジ・アース>を呼び、<マーズ>が<ミルキィウェイ>をリクルート。その出現時効果で<ダイホウイカ>をバウンスすると、こあら選手のエナが尽きた。シグニを何とか止め、ルリグアタックはガード。ターンをたぐり寄せた。


(レゾナにアーツ耐性を与える効果が注目されるが、出現時バウンスも強力。エクシード2の<マーズ>で呼べば防御につながる)

リソースも猶予も、もう残されていない。
エナチャージで<マーズ>をたたみ、<スター・フェスティバル>で<ミルキィウェイ>をバニッシュしながらサーチ。
<ミモザ>からの<マルカブ>で、選んだモードは4枚落としだ。せめてトラッシュを奪い、<カニキー>破棄の上からでも、細い勝ち筋をつかもうと動く。レゾナで<マーズ>、再び<マルカブ>。狙い通り、かんでこ選手がリフレッシュ。

リフレッシュダメージで、最後のライフクロスからトラッシュに送られたのは、<ラアー>だ。
「うっそじゃん!!!そんなことある・・・?」と、肩を落としながら、こあら選手は<ノーザンセブン>を添えてアタックフェイズに。バニッシュ耐性で応じるも。


(序盤はバウンス、終盤はリフレッシュと、サシェの多忙シグニその2。ライフに埋めない力量も大切)

かんでこ選手が差し出したのは、<炎のタマ>だった。

レゾナたちは何の耐性を持たない。<ダイホウイカ>が襲いかかる。
「しょうがないよ」というチームメイトの言葉を聞きながら、こあら選手は静かにデッキを畳んだ。

WIN かんでこ選手

〜こぼれ話〜
「<サーバントQ>が青のカードに見えちゃって」と、こあら選手が悔しそうに振り返った。あのターンでライフを2〜3枚削っていれば、違う展開になったかもしれないだろう。結果的にノーパン戦術となったが、かんでこ選手はエナの工面に苦労する様子もなかった。
もしカーニバルがレベル3でコインを得られなければ、レベル4のコイン防御が発動できず、結果的にサシェの<ジ・アース>盤面が直撃することになった。<鎧終一触>は<ミルキィウェイ>で防がれるため、防ぐには<カニキー>を破棄するしかなくなり、勝負はまだ分からなかったはずだ。<サーバントQ>がマルチエナを持たなければ、の話だが。

そうなったとしても、カーニバルの数多くの防御をすり抜ける事は難しかっただろう。
一見強固な<ジ・アース>も、「ルリグシグニアーツ耐性」を毎ターン続けることは難しく、<カニキー>破棄は避けられない。リミット5も<タネガスペ>を場に残していれば、<ジルコニウム>の蘇生はできる。カーニバルの強さの一因だ。

ただ、こあら選手が最後に見せた<マルカブ>連打は、カーニバルの防御を突き崩す最適解のひとつだ。エクシード1で<マルカブ>を戻し、再び場に出す事で、さらに4枚削ることができる。このプランは、サシェを使う上では覚えておきたい。
レベル2の時のノーパン戦術が裏目に出てしまったこあら選手ではあったが、ルリグ効果への対応や数々のサーチなど、臨機応変に戦っていた。準決勝にふさわしい試合だったといえよう。

デッキレシピ