第1章~パンデミックで閉じた舞台

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4:未来まで活躍するカードが続々

ディーヴァセレクション10周年を迎えた2024年、あるいはそれ以降から振り返ると遠い昔で、カードパワーも遥かに劣る草創期だったこの頃。だが、登場以降長く活躍したり、突然注目を集めたカードたちも数多い。全てには触れられないが、印象深いカードたちを挙げていこう。

やはり2弾で登場した《ゼノ・クラスタ》は欠かせない。相手のアタックフェイズに使える数少ないピースで、1ドローか1エナチャージができる。ただし、発動ターンに相手によってハンデスされていれば3ドロー、エナ破壊をされていれば3エナチャージとパワーアップ。かつての《ペナルティ・チャンス》《クライシス・チャンス》のようなカウンター系アーツに該当するピースだ。

登場当時は「バニッシュして攻める」が基本だったため、さほど見向きはされなかったが、4弾でエナ破壊が得意かつ、自身のエクシード3と相性が良い【DXM】が登場するとその評価は一気に上昇。後に【原子デウス】が登場し、多くのデッキにハンデスやエナ破壊が標準搭載となっていくに連れて、《ゼノ・クラスタ》はディーヴァセレクションの必須カードとして上り詰めた。特にエナ破壊に対し、ほぼ同時期に登場した《マドカ//フロート》や《MC.LION DISRESPECT》のような「3面防御アシストルリグ」をフルモードで使うため、長きにわたって活躍。ウィクロスでは数少ない「少女が描かれていないカード」で、ルリグが描かれたイラストはディーヴァグランプリの入賞記念カードとなっており、入手難易度が高い。

アタックフェイズ中に使えるピースとしては《SONG OF WIXOSS》《●TAP DOWN TAP●》の登場もこの頃だ。

3弾で登場した《SONG OF WIXOSS》は、メインフェイズ・アタックフェイズ中に使える3枚ドローピースだ。使った次の自分のターンの終了時に手札を2枚捨てるデメリットがあるが、それまでにゲームを終わらせてしまえば問題はない。登場直後は《至高へ飛翔 レイ》がセンタールリグの【チームレイ】に採用され、自身のゲーム1でのハンデス枚数の底上げに活躍。後の【ダッシュヒラナ】に始まるショットデッキではキルパーツをかき集めるために使用された。
《●TAP DOWN TAP●》は自身のライフクロスが0枚のときのみに使える防御ピースで、1弾で登場。当時は一気にライフクロスを減らされる環境のためか評価は低かったが、遠い未来の2024年5月のディーヴァグランプリで【防衛派タマゴ】で採用された。デッキそのものの防御力がずば抜けていることや、【ルリグバリア】【シグニバリア】などでライフクロスの枚数や生存ターン数を操作しやすいこともあり、相性が良かった。他にも《GO TO the TOP!》や《ネバー・サレンダー》など、ショットデッキで活躍することになるアーツが1弾で、強力ハンデスピースの《蒼黒GAIA》が2弾で、使いやすい除去の《burning curiosity》が3弾で登場。草創期でありながら優秀な面々が揃っている。

出現時に指定のルリグをダウンしなければ、自身がダウンするデメリット能力「ハーモニー」を持つシグニは2弾で登場。デッキ破壊役として長きにわたって戦い続けた《コードアンシエンツ ファラリス》、前述の【コウメイノヴァ】のギミックを担った《聖将姫 コウメイ》が特に活躍していた。
当時はチームでデッキを構築することが主流だったため、特定の色のルリグをダウンさせる条件を持つことが多かったハーモニーシグニは、特定のデッキのみで採用されることが多かった。だが後に数多くのアシストルリグが登場したことにより、デッキ構築の幅が広がったことで、日の目を浴びたシグニもいた。特に《幻水姫 ホタルイカ》《羅原姫 ZrO2》は「青白白」「青黒黒」系のデッキで活躍し、ランダムハンデスで多くのプレイヤーの《サーバント #》を奪いにかかっていた。

SRシグニの目玉は何より1弾の《聖天姫 アークゲイン》だろう。当時の狭いカードプールでの【シャドウ】は強力で、バトル以外での突破はほぼ不可能。【ランサー】を持つシグニも《翠天姫 デメテル》程度で、場に出せばほぼ確実に1点守れる防御力を誇り、現在の《聖天姫 エクシア》に匹敵するポジションとして、特に【チームLION】で長く活躍。不安定な【シャドウ】だった《コード2434 本間ひまわり》を一瞬で過去のものにしてしまった。
自傷系ショットデッキのお供となった《紅魔姫 ダッキ》は2弾で、速攻デッキの奥の手として輝いた《凶魔姫 エレシュキガル》は3弾で登場。凍結ギミックの要である《コードイート ワッフルアイス》や、2024年7月に<迷宮>軸のイオナで注目された《コードメイス ギロッポン》が登場したのも3弾だ。

下級シグニは《聖天 ハニエル》や《聖将 チョウウン》、《紅将 ランスロット》が特に活躍。デッキ構築の色縛りの都合上、ヒラナやLIONが台頭したため、白や赤のこれらのカードを見る機会は多かった。長きにわたり青のスペル戦術の基盤を支える《RANDOM BAD》《TROUBLE》が登場したのも構築済みデッキと1弾で、特に《RANDOM BAD》は後に《EXTRA》《TOO BADLY》など、相互互換の立ち位置となるスペルが多数登場している。
パワーマイナスが蓄積するためか、黒は赤と比べて除去の査定が厳しかった。その中でも《凶魔 パイモン》《コードメイズ ウェカワ》のセットは1弾までに登場。《コード2434 シスター・クレア》《コード2434 郡道美玲》とのロングショットコンボは、後の2022年のディーヴァグランプリで活躍することとなる。緑は優秀なアタッカーが《幻水 キュウセン》程度しかおらず、メタゲームでの出番は少なかった。緑ルリグの活躍は2024年の【緑子】【ひとえ】らの登場まで待つこととなり、ディーヴァセレクションでは肩身の狭い色として長く過ごすこととなる。それでも《コードメイズ ギロッポン》《羅植 チュリン》といった光るシグニが散見されていた。

並行してアニメ「WIXOSS DIVE (A) LIVE」が1月から3月まで放送された。「鬱アニメTCG」と言われることもあるダークな世界観だった旧作に比べ、「WIXOSS DIVE (A) LIVE」は「バーチャル世界『WIXOSSLAND』を舞台に、バトル、歌、パフォーマンスを繰り広げる」という、明るい世界観に一新。各チームのチームピースを曲名としたキャラクターソングが作られ、各回のエンディングテーマになるなど、アニメとカードの連動・販促が強い作りとなっていた。キャラクターデザインは、Vtuberとしてスターダムを歩み始めたイラストレーターのしぐれうい先生が担当するなど、当時大流行していた「Vtuber」を意識したスタッフ陣・世界観と言えるだろう。

アニメ公式サイトより

ただ、コロナ禍の影響は同シリーズに色濃い影を落としていた。本来の販売戦略は、アニメ放送期間中に集中して3弾連続でブースターパックを発売し、構築済みデッキと合わせ、アニメと連動しながら遊んでいくものと推測されるが、コロナ禍での緊急事態宣言と行動宣言がそれを大きく阻害した。ピースやアシストルリグといった新システムも登場し、それらをウィクロスパーティーなどで体感しようとしても、緊急事態宣言や感染防止策でイベントの開催が難しい、もしくは不自由だったこともあって、新規ユーザーの開拓や拡大は、当初想定したほど進んでいなかったのではと、当時のWIXOSSBOXの利用状況から推察できる。

個人的な妄想の域は超えないが、各チームのキャラクターソングがあったことからも、「ライブイベントの開催」がディーヴァシリーズの柱の一つにあったのではないだろうか。大型イベントの一環として、またはライブイベント単体として、各登場人物の声優陣が集い、アフレコやライブステージを行う趣旨のイベントが開かれる、と考えてしまう。「No Limit」はアイドル、「Card Jockey」はクラブミュージック、「うちゅうのはじまり」はバンド、「DIAGRAM」はダンスと、主要4チームがそれぞれに音楽性を持った構成になっていることも、その期待の名残を思わせるのだ。
時系列は逆転するが、2023年9月開催のリアルイベント「ウィクロスフェスwith電音部」では、電音部コラボのステージイベントが開催された。電音部からはアキバエリアの、ウィクロスからは「No Limit」「きゅるきゅる〜ん☆」の声優陣がステージに揃い、トークとライブ……、ライブは録音した「夢中にちゅ・ちゅ・ちゅ・ちゅーにんぐあっぷ」の音源再生にとどまったが、客席とのコール&レスポンスの熱量の大きさたるや、だ。出演の声優陣からも「次は歌とダンスで!」という趣旨のコメントがあったことからも、やはり「WIXOSS DIVE (A) LIVE」の放送を機に、リアルライブステージの開催が企画・検討されていた……、とどうしても妄想してしまう。
コロナ禍は多種多様なエンターテインメントに暗い影を落としたが、演劇や歌唱もまた、その一つだ。歴史を客観的に書き残すという本稿の趣旨からはそれてしまうが、主観を込め「もしもコロナがなかった世界だったら、DIVAのライブが開かれていたのだろう」と思うと、それは残念でならない。そのifが叶わない保証はどこにもなく、いつかの未来でそれが何らかの形で実現することを、祈るばかりでもあった……。だが、その構想は当時から無かったと、5年後にプロデューサーによって明かされている。

そんな前途多難の船出となったディーヴァシリーズではあるが、主要4チーム・総勢12人のセンタールリグがカードとして出揃った。
ヒラナやレイ、LIONらがルリグアタックを要に速攻を仕掛けたり、ノヴァがコントロールを試みたり、マドカがハンデス&リフレッシュで立ち回ったりと、速攻・中速・低速が揃う、ある種安定したメタゲームが広がっていた。
一方「アンサプ」「さんばか」の6人も1〜3弾の新規カードを取り入れた開拓が進められていたが、やはりカードパワーの低さが目立ってか、ディーヴァ勢力の波に飲まれていくこととなる。6人は「幕間」の名の通り、筋書き通りメタゲームの舞台からは姿を消し、舞台袖へと戻っていった。

そして、続く4弾。「WIXOSS DIVE (A) LIVE」世界で「劇中最強」と名高いチームが登場する。
その最強はあまりにも最強。長きにわたって続くこととなる、独裁政権の幕開けとなった。

COMING SOON…