第1章~パンデミックで閉じた舞台

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2:INTERLUDE〜幕間とはじまり〜

そして、2020年12月5日。奇跡的に緊急事態宣言の無い中で、構築済みデッキ2種とともに、ディーヴァセレクション0弾「INTERLUDE DIVA」が発売された。

ウィクロス公式サイトより

アンサプからは青の「ウムル」と赤の「タウィル」、そして新規に「アト」が、にじさんじ・さんばかからは「アンジュ」「とこ」「リゼ」の3人がセンタールリグとして登場。にじさんじは既にキーセレクションで「にじさんじ」というルリグタイプがあったが、ライバーそれぞれがルリグタイプとして登場している。この全6人が、ディーヴァセレクション開幕時のルリグタイプだ。
……正確には、「INTERLUDE=幕間」が表すように、1月から放送を控える新アニメ「WIXOSS DIVE (A) LIVE」までの幕間であるが。

緊急事態宣言が発令されていなかったため、この時期は全国でウィクロスセレモニーが開催されていた。
6人による少ない環境の中、メタゲームのトップに立ったのは【チームタウィル】だった。

【チームタウィル】は、《目醒めし者 タウィル=トレ》がセンタールリグ、アシストルリグにアト・ウムルを採用した、チーム「アンサプ」のデッキ。主力のアタッカーは《紅魔 ヘラ》《紅魔姫 シュブニグラ》の2枚だ。

ディーヴァセレクションの導入に伴うカードパワーの見直しで、メインフェイズでのシグニの除去には多大なリソースが求められた。今となっては普通よりやや高水準な「対戦相手のパワー13000以下のシグニをバニッシュする」スペル《開闢の打刻》のエナコストは赤2・無色2の計4エナ。「このシグニよりパワーの低いシグニ1体をバニッシュ」という出現時能力を持つ《紅魔 ビュレト》は、レベル1パワー2000と打点が低く、それですら赤1・無色1の計2エナが求められた。除去が得意な赤という色ですらこれなのだから、他の色の除去性能に関しては、今更述べる必要もないだろう。
そんな中、場のシグニが全て赤である必要があるが、アタック時に赤1エナでパワー5000をバニッシュできる《紅魔 ヘラ》と、12000以下をバニッシュできる《紅魔姫 シュブニグラ》は、まさしく頭一つ抜けた破格の性能だった。唯一の赤ルリグとしてその2枚を強く使えた【チームタウィル】の強さの根源であり、優秀な防御アシストルリグである《ウムル=ダウン》を、チームとして自然に採用できる点も嬉しかった。必要な青エナは、新要素である「2色バニラシグニ」の《羅石 ブロンズ》で補えた。

一方のにじさんじ勢も、固いシグニでタウィルに対抗した。
<バーチャル>のシグニは、タウィルが有する《紅魔 ヘラ》《紅魔姫 シュブニグラ》の除去ラインに対抗できる点が強みだった。序盤は《コード2434メリッサ・キンレンカ》のパワーを7000にすることで《紅魔 ヘラ》の除去から逃れ、レベル3グロウ後は《【センター】アンジュ レベル3》の起動能力によるパワー上昇や、《コード2434 本間ひまわり》による【シャドウ】で《紅魔姫 シュブニグラ》の除去から逃れる。【チームタウィル】の活躍と共に強さが知られ、トップメタで人気のデッキの一つとなっていった。

シグニのパワーの高さは非常に重視され、《コード2434 魔使マオ》のようなレベル2・パワー10000のシグニも採用された。センタールリグとしてはとこ、アンジュが特に人気で、リゼは《サーバント #》を回収できる《【アシスト】リゼ レベル2’》の存在から、アシストルリグが良い意味で重宝された。

プレイヤーたちは、徐々にディーヴァセレクションの特性に適応していくこととなる。
現在のディーヴァセレクションにも根強く残る、「《サーバント #》の有無が試合を大きく左右する」「ライフバーストが大きな逆転要素である」という2つの特性だ。

当時は1度のガードの有無がとにかく大きかった。シグニの除去手段や性能が乏しいため、どんなに攻撃的なデッキでさえも、コンスタントな3面要求は難しい……、いや不可能だったカードプールだ。であれば、ルリグアタックを何度通せるかが重要となるのは必然だ。とにかく《サーバント #》を確保すること、更に言えば《サーバント #》のライフバーストが空振りしないよう、1枚目の《サーバント #》に速やかにアクセスすることが、最重要課題の一つだったのだ。それを叶えたピースが《祝福の鐘の音》だ。

「3枚引いて2枚捨てる」という何の変哲も無い効果だが、3枚のドローでサーバントが確保できれば、1面防御ピースに早変わりする。《RANDOM BAD》も未登場で、手札破壊の手段がほぼ《コードメイズ ミズドケイ》だったこの環境では、「とにかくサーバントを引きに行ける」このカードのありがたみは大きかった。

手札を捨てる点も、《コード2434メリッサ・キンレンカ》のパワーが7000になるための「トラッシュに《バーチャル》5枚」を早期に達成する方法になるため優秀で、そうでなくとも《サーバント #》のライフバーストで回収するカードを用意する、という点で重要だった。このピースはディーヴァセレクション黎明期を象徴する1枚であり、その後も長く活躍することになっていく。

そしてもう一つの「ライフバーストが大きな逆転要素である」というゲーム性のため、採用されたカードがある。それは《フレン・スラッシュ》だ。

前述した《開闢の打刻》のように、手撃ちするには膨大なエナコストが必要となるスペルだが、手撃ち目当てでの採用ではない。「対戦相手のシグニ1体を対象とし、手札に戻す」というライフバースト目当てに採用されていたのだ。それほどまでにメインデッキの除去手段は乏しく、ライフバーストすらも除去に充てるカードプールなのだ。

《フレン・スラッシュ》の流行に伴い、メインデッキのシグニの採用理由も、ライフバーストが重視されるようになった。《紅魔 ヘラ》《紅魔姫 シュブニグラ》《コード2434メリッサ・キンレンカ》のような、シグニとして場に出す必須カードを除けば、強いライフバーストを持つカードから優先してメインデッキに採用されていく傾向すら生まれた。ライフバーストでアタックが止まれば1面防御かつ1面要求になるし、アタックが止まらずとも相手のシグニを除去できれば、それは貴重な除去だったのだ。

そして、ディーヴァセレクションの目玉の一つであった「チームピース」……。「アンサプ」の《ハーモニー・コール》「さんばか」の《サンバ・カーニバル》がそれに当たるが、結論としては全く使われることはなかった。理由は、膨大なエナコストだ。《サンバ・カーニバル》は5エナ、《ハーモニー・コール》に至っては8エナだ。無論、通れば強力ではあるのだが……。そんなエナはなかったのだ。
「アンサプ」は《アンシェント・エコー》を、「さんばか」は《スーパー・ヘルエスタセイバー》を事実上のチームピースとして採用。もう1枠は《祝福の鐘の音》がスタンダードな構築だった。

サーバント回収がとにかく優秀
3色の特徴が詰まったピース

現在より遥かに少ないカードプールと、これまでのウィクロスとは全く違ったウィクロス。コロナ禍で不自由な社会情勢の中でも、セレクターたちは知恵を絞り、強いデッキを作り、戦い、ウィクロスを楽しんでいた。手札に抱えたサーバントを《ウムル=クリアー》で奪ったり、防御を捨てて《【アシスト】アンジュ レベル2》で果敢に攻めたり、あえてチーム構築を崩してみたり……。さまざまな試行錯誤の名残が当時のデッキたちからは読み取れる。

そしてこの日々は「幕間」だったのだと、1か月後に登場する「DIVA DEBUT DECK」の収録カードとその性能を前に、セレクターたちは強く実感する。