「とりあえず世界大会だなあ・・・」
決勝戦のテーブルに着いた、twinsさんとミソランさんは、顔を見合わせてほっと、息を吐いた。
プレイヤーにとって大きな目標の一つである「世界大戦本戦出場権」を手にした2人は、準決勝とは違った面持ちで、対戦の準備を進めていた。とはいえ、「彩々で優勝したことないんですよ」と、twinsさんは次を見据えていた。「安心して戦えますけど、優勝はしたいですよね、やっぱり」。ミソランさんはそう応じる。
優勝という肩書きを、世界への花道に添えたいところ。最後の試合が始まった。
(念願のレベル4アルフォウ、キーセレで活躍中!)
先攻を取ったのはミソラン選手。ルリグはアルフォウだ。
キーセレクションへの登場とともに、レベル4やコインなど、さまざまな夢を叶えたシンデレラガール。エナチャージをして、グロウ。<ザロウ>を捨てて、念願のコインを手に入れる。早速<ハイティキー>をアンロックした。
初動は<ヘンゼル>。効果で黒1を支払い、デッキからレベル2の<ドッグメ>を手札に呼び寄せた。「んー」とライフバーストを見ながら彼はうなる。デッキをカットすると、2体目の<ヘンゼル>を立ててターンエンドだ。
(シグニのテーマは演劇やおとぎ話。演劇部らしいですね)
青タマのtwins選手はエナチャージを通過し、グロウ。手札を切ってコインを得て、<ユキキー>を発動。「2枚サーチできるかなあ」というぼやきをよそに、<アナーヒター>2枚を加える。「お待ちください」と丁寧に伝え、しっかりとライフバーストを頭に叩き込む。そのまま2体の<アナーヒター>を加え、アタックフェイズ。
中央の<ヘンゼル>を踏む。そして残りの<アナーヒター>がライフを砕くとともに、<ハイティキー>でその1体がバニッシュされる。ルリグアタックも防がれることなく通る。5−7でターンエンド。
(<ハナレキー>同様、序盤から安定して除去できる強力なキー)
アルフォウがレベル2へグロウ。先ほどの<ドッグメ>を場に出し、トラッシュを肥やしていく。
バニッシュの効果は空振りしたが、続けて中央に<フロト>を立て、お互いのデッキトップを落としていく。アタックフェイズ。正面のいない<ヘンゼル>がライフクロスを砕くと、早速<アークゲイン>が飛び出した。
「いきなり強い・・・!」とミソラン選手は漏らす。<ドッグメ>がダウンし、ルリグはガード。5−6と、1点をライフバーストで守られた形になった。
タマがレベル2へグロウ。中央に<エウリュピア>が立ち、続く<ヴァースキ>がデッキトップの<ネーレウス>を加える。<アナーヒター>を加え、シンプルにアタックフェイズに入った。地上の要求はない、シンプルな盤面。だがミソラン選手は「やべえな」と顔をしかめた。
「ちょっと考えます」と思案し、トラッシュや手札をなぞる。そして<ハッピー5>で、<エウリュピア>を止めた。アタックした時に天使のシグニを捨てると、ランダムハンデスするシグニ。手札が2枚のミソラン選手は、手札をもがれることを嫌った形だ。
残る2枚の天使たちがアルフォウのシグニを踏み、ルリグアタックはこれまた通る。飛び出した<ユキジロヒメ>のバーストでサーバントを拾うと、ターンが終わった。4−6。
(要求につながらなくとも、ランダムハンデスを要求できる厄介な1枚)
序盤の要である<ハイティキー>を、早々に切ったミソラン選手。ドローで増えた手札を見て、「ワンチャンあるか・・・?」と頷いた。エナを通過してレベル3へグロウ。コインを2枚得ると、それらと黒エナを支払い、<ウトゥルスキー>をアンロックした。先手先手と、ハンデスからのリカバリ札を切っていく。
下敷きとなった<ハイティキー>をエクシードで切り、<ドッグメ>と<ザロウ>を回収。そして<ブロト>で相手の<アナーヒター>を傀儡にすると、<ドッグメ>を場に出す。デッキから3枚を落とすが、またも空振りだ。
「3点欲しかったなあ・・・」と、攻めを逃したミソラン選手は嘆く。<アナーヒター>以外をリムーブすると、<スユラギ><スユラギ>を展開した。傀儡シグニが場にいるため、出現時の効果はマイナス7000。<ヴァースキ>を除く2体を溶かすと、アタックフェイズだ。
twins選手はシンプルに、正面が空いた<スユラギ>を<ハッピー5>で止める。残る<スユラギ>がトラッシュを肥やしつつシグニを踏み、残る傀儡がライフを1枚。ルリグは防がれ、4−5でターンが終わった。
(砂糖、塩、酢)
「ダメくさいなこれ・・・」と、噛み合わないデッキを前に首をかしげるミソラン選手。それを尻目に、twins選手がレベル3へグロウした。
中央に<ネーレウス>。左にもう1枚。残る場に立った<ヴァースキ>が<ネーレウス>をデッキトップから呼び込み、アタックフェイズだ。要求はなく、これは通る。<スユラギ>が全て踏まれ、ルリグアタックはガード。ライフは変わらず、4−5でターンエンドだ。
アルフォウがレベル4へグロウする。「このあとハンデスがどれだけ飛んでくるか、だよな・・・」と身構えながらも、先手の利を活かし、盤面を組み上げていく。
まずは<プリンス・キッス>が出現し、<ユキジロヒメ>をデッキボトムに送ると、起動効果でデッキからレベル4のシグニを呼び出す。登場するのは、エースの<セユラギ>だ。相手のトラッシュから<アナーヒター>を傀儡として呼び出すと、アルフォウの自動効果が発動。ドローかマイナス7000か。「ドローの方がいい気がするけど・・・、点数要求しないと意味ないからな」と、中央の<ネーレウス>を溶かした。
続けて奪った<アナーヒター>2枚を素材に、<ザロウ>を場に出す。起動効果でサーバントを拾うと、コイン技「ジェラシー」を発動。アルフォウがルリグタイプ「タマ」を得ながら、相手のトラッシュから<イチキシマ>を傀儡で呼び出した。アタックフェイズ。<ザロウ>が<ヴァースキ>を溶かす。
<セユラギ>がアタックすれば、正面の<ネーレウス>が溶ける。相手のカードを傀儡にしつつ、トラッシュ肥やしも狙っていく、アルフォウらしい盤面が整った。
(醤油。せうゆ)
そんな要求に、タマは<アンシエント・グルーヴ>で応じる。2ハンデス、<ザロウ>をダウン、2ドロー。お互いのリソースが入れ替わっていく。防御のアクションが終わり、シグニアタックだ。
<セユラギ>のアタックで、ミソラン選手のデッキが3枚落ちる。正面の<セユラギ>が溶けて1点。バーストは<サキエル>で、1ドロー1エナチャージだ。続けて<イチキシマ>。これまた<サキエル>。1ドロー、1エナチャージ。ルリグは防がれ、4−3でターンエンド。「いや、<サキエル>ここかあ・・・」と、暴れるライフバーストを前にミソラン選手は思わず声を漏らす。
ドローフェイズを迎え、あふれんばかりの手札を抱えたtwins選手。「えーどうしよう。これを使って、こうして、これでいい?」と、1つ1つ手札を動かしながら、次の手を見据える。タマがレベル4へグロウし、「とりあえず」と<華代キー>をアンロック。<ザロウ>をバニッシュした。
「トラッシュの天使が9枚なんだよな・・・」と、いまひとつ肥えないトラッシュを見て首をかしげる。とはいえリソースは十分だ。<セユラギ>の正面に<サキエル>が立ってハンデス、<ゲイン>がもう1枚ハンデス、最後に<エウリュピア>が立ち、アタック時におかわりハンデス。すでに手札が0枚のミソラン選手を前に、タマが容赦く手札を奪う。
アタックフェイズ。タマが<エウリュビア>の正面を溶かすと、<ゲイン><エウリュピア>の前が空いた。<サキエル>と合わせて、綺麗な3面要求。手札は0枚。
待ってましたと言わんばかりに、<ストーリー・テラー>が発動された。
(発動条件は厳しいが、どの効果も非常に強力。名乗りを上げる者は?)
サーバントが2枚と、<セユラギ><セユラギ><ブラックホール><スユラギ>が、一気に手札に舞い戻る。思わず「ミスったな・・・」と、twins選手が漏らした。<ストーリー・テラー>をケアするのなら、相手の手札を0枚にしてはいけない。<サキエル>のアタック時バニッシュも、手札の差がなくなったので空振りだ。
仕方なく<サキエル>が<セユラギ>を踏む。そして<ゲイン><エウリュビア>がライフを割っていく。バーストは音沙汰ない上に、<エウリュピア>がアタック時にもぎ取ったのはサーバントだ。
これにはミソラン選手も目を丸くする。ルリグアタックはガードしたが、手札からサーバントが消えた。2−4。
「鯖消えたのがきつすぎるんだ・・・」と、的確で、容赦ないリソース奪取に天を仰ぐ。そしてそのまま、ターンを受け取った。
<セユラギ>を場に出し、相手の<アブサラス>を奪うと、2枚捨てて2ドローし、マイナス4000を<サキエル>に振る。アルフォウの効果で、<アークゲイン>にマイナス7000。そして<スユラギ>の効果でさらに7000。<ゲイン>はこれで溶け去った。
奪った<アブサラス>をリムーブし、<ブラックホール>で<サキエル>をバニッシュ。アタックフェイズ。要求は正面の空いた<セユラギ><ブラックホール>のみ。シグニの配置はこれでいいのか、ミソラン選手は首をかしげた。
当然twins選手は、<華代キー>で<セユラギ>をバニッシュし、これを通す。<スユラギ>のアタックでタマのデッキを削り、<ブラックホール>が1点。ルリグアタックを防ぐか否かでtwins選手はしばし悩み、挙句それを受けた。ターンエンド。2−1と、ミソラン選手がダメージレースで前に出た。
(シンプルに強い除去。限定条件もなく、カーニバルなどの黒デッキで人気)
「あー、そうじゃない・・・!」。2ドローを終えたtwins選手は頭を抱えた。
「ハンデスはするけど・・・、切りたくないけど、やるしかない!」と、まずは<アークゲイン>出現。泣く泣く<アプサラス>を切り、ハンデス1。中央に<ネーレウス>を立て、空いている場に<サーバントQ4>を立て、アタックフェイズ。ゲインの効果で1ドローし、タマが<サキエル>を拾う。「下手くそだなあ・・・、なんかめっちゃ下手くそな気がする・・・」と、思うようにいかない盤面を前にぼやくtwins選手。
ただ、ハンデスと1面要求でさえ、今のミソラン選手には重い。「デッキの残りが弱いの、わかってるんだよなあ」と、<グレイブ・アウェイク>を発動。場に残る2体で<ザロウ>を蘇生させ、起動効果で<ネーレウス>を溶かす。<Q4>とルリグアタックのみとなった盤面を、ミソラン選手は通した。
2枚のライフが立て続けに割れる。ルリグアタックのバーストで<ザロウ>が飛び出し、<ブラックホール>を拾われたところで、twins選手が「山2枚じゃん・・・!」と悔いる。ターンエンド。0−1と、試合は終盤だ。
2ドローを経てリフレッシュ。「トラッシュが空になった、よしよし」と、twins選手は<ウトゥルスキー>を見ながら胸をなでおろす。
しかしトラッシュ肥やしはアルフォウの十八番だ。メインフェイズ。<ザロウ>が<ザロウ>を拾うと、<キャットレ>でお互いのデッキを落とす。<Q4>にマイナス1000を振りつつ、twins選手をリフレッシュに追い込んだ。続けて<ブラックホール>が<アークゲイン>をバニッシュすると、<ブラックホール>と<ザロウ>で<ザロウ>を作る。起動で<セユラギ>を拾い、そのまま場に出し、<D2>を傀儡で呼び出すと、アルフォウの効果でさらに3枚落とす。その中に<ユキジロヒメ>が混じっていた。
「今じゃないって!」と、ミソラン選手は声を上げる。仕方なくアタックフェイズに入る。<ザロウ>で<Q4>のパワーを3000に追い込み、<セユラギ>で溶かせるように構えた。要求は十分。
(エクシード4で一気に蘇生。オールスターでの活躍にも期待)
「ルリグトラッシュ見ていいですか?」と、twins選手が尋ねる声は、ちょっぴり嬉しそうだ。
人のカードを使うときは、やはり心が踊るのだろうか。「<ストーリー・テラー>をもらいたい」と発動したのは、<ホーリー・グランドスラム>だ。
ミソラン選手の<ストーリー・テラー>を奪う。ライフが0枚なので、トラッシュからシグニを蘇生し、1枚回収する効果を使うことができる。<アプサラス>を蘇生させ、<ゲイン>を回収。場に出た<アブサラス>が、2枚捨てて2ドロー。<D2>を溶かすと、<華代キー>のエクシードで<ゲイン>をバニッシュした。ルリグアタックはガードし、ターンエンド。0−0。
(限定条件や使用タイミングも無視して発動。<ビカム・ユー>がすごい)
twins選手は詰めを見据えた。
<サキエル>で1ドロー1ハンデス。<アプサラス>をリムーブし、<アークゲイン>が最後の<サーバント>を奪う。<ネーレウス>を中央に立て、アタックフェイズ。タマが<ザロウ>を飛ばした。
手札をするりと奪い、いともたやすく要求を作り上げる青タマ。「手札無いと耐性つくのえぐいな・・・!」とのミソラン選手の言葉通り、<アークゲイン>の名にふさわしい防御力。「1面は空く、空くけど・・・!」と、逆転の一手を探しつつ、守り抜こうとあがく。「1面しか空かない・・・」と、同じ言葉を裏返しながら。
温存しておいた<ウトゥルスキー>のエクシード4で、<セユラギ><プリンス・キッス>を蘇生させる。<キッス>が<ブラックホール>をデッキボトムに置き、<セユラギ>が<アークゲイン>を傀儡に。その効果で発動したアルフォウの効果で、<ネーレウス>を溶かす。最後に<ハッピー5>を2連打し、<サキエル>を止め、<サーバント>を拾った。ルリグアタックは、そのサーバントを捨てて防ぐ。ターンエンド。
「手札が2枚あれば、<アークゲイン>の耐性ってつかないんですよね」
ドローフェイズで2ドローし、ミソラン選手は状況を整理していく。
場は<セユラギ>と<プリンス・キッス>。ドローしたカードは、<サーバント>と<プリンス・キッス>だ。手札を抱えたまま盤面を溶かし、<ハッピー5>とコイン技の「イノセンス」を乗り越えなければならない。
なにはともあれ、<プリンス・キッス>を起動。デッキから<セユラギ>を呼び出し、<ネーレウス>を傀儡に。アルフォウで<サキエル>をマイナス7000して、アタックフェイズ。手札もエナも絞られては、満足な攻めとはいかない。案の定、<ハッピー>2連打とコイン技「イノセンス」で、その攻撃はシャットアウトされた。サーバントも当然ある。
<サキエル><ゲイン>がリソースを奪う。
最後の1つが、ただただ遠かった。
優勝 twins選手