WIXOSSBOXは6月21日で5周年を迎えました。これを記念し、Youtubeチャンネル「カジュアるデュエマGAMEs」でデュエル・マスターズの情報を発信し続け、「その名は カジュアる」としてウィクロスに参戦した、カードゲームインフルエンサーのカジュアるさんが、WIXOSSBOXのインタビューに応じました。ディーヴァグランプリ5thでベスト16に入賞したメルデッキの解説や、ウィクロスの魅力、動画コンテンツの成長のために必要なことなどを幅広く取材しました。カジュアるさんのウィクロス愛あふれるインタビューを、たっぷりお届けします(5月24日・リモートにて取材)
プロフィル
カジュアる
Youtubeチャンネル「カジュアるデュエマGAMEs」を運営するユーチューバー。チャンネルではデュエル・マスターズの新カードや裁定の解説、デュエマの背景世界紹介などを幅広く扱う。登録者数は36000人を超える、人気デュエマユーチューバーの1人で、デュエマ公式Youtubeチャンネル「デュエチューブ」にも多数出演。ウィクロスではディーヴァグランプリ5thでベスト16入賞。アイコンのモデルは、デュエマのクリーチャー「ファボレオン」。(登録者数は取材日現在)
人気デュエチューバーがウィクロスに殴り込み!?
――この度はインタビューに応じていただき、ありがとうございます。改めまして自己紹介と、ご自身のチャンネル「カジュアるデュエマGAMEs」のご紹介をお願いします。
この度はインタビューに応じていただき、ありがとうございます。改めまして自己紹介と、ご自身のチャンネル「カジュアるデュエマGAMEs」のご紹介をお願いします。
「カジュアるデュエマGAMEs」のカジュアると申します。チャンネルでは、デュエル・マスターズの新カード紹介や、カードの背景ストーリー解説などを主に発信しています。デュエマは2007年頃に、チャンネルは2020年春に始めて、登録者数は36000人になります(※2023年5月現在)。現在は専業でYoutubeをやっています。
デュエマの魅力は追ってたくさん伺わせていただきますが、ウィクロスを知ったきっかけは何ですか?
PRISMATIC DIVAの案件をタカラトミーさんから頂きました。
最初に思ったのは「どんなカードゲーム何だろう」でしたね。「WIXOSS」というタイトルから、ゲーム性が全く想像できなかったんです。それと同時に、デュエマの規模の大きさを知りました。ウィクロスが少ないというわけではなく、デュエマの人口やコンテンツの力は大きいんだなと。
カードを見たのは、「本当に女の子しかいないんだな」でしたね。デュエマにも女の子のカードはありますが、ウィクロスは本当に「女の子!」です。あと、かにかま先生のイラストは目を引きました。ツイッターではっちゃけているだけではなくて、ちゃんとお仕事されているんだなあって。色々なデッキにかにかま先生のカードが使われて、《ウリス・スケアー》のようにちゃんと強いのが面白かったです。
やればやるほど気づきが得られる…午前4時までぶっ続け
初めて対戦した時の印象を教えてください
最初は555円のスタートデッキを使って、撮影メンバーと対戦しました。初めてなのに、自分の明らかなミスが分かるんです。「あ、このシグニを殴らなかったら、エナが溜まらなかったよな」とか。
デュエマはバトルで倒したクリーチャー(ウィクロスでのシグニ)が原則トラッシュに行くので、バトルで場を整えてからシールド(ウィクロスでのライフクロス)を狙いに行きますが、ウィクロスはシグニがエナになりますよね。シグニ同士でのバトルを避け、エナを与えないこのも大切というのが、最初の時点で分かりました。
自分のミスがすぐにわかるから、「次はアシストルリグを使うタイミングを変えてみよう」「エナを与えないようにしよう」とどんどん試していったら、夜9時頃からバトルを始めたのに、気が付いたら朝の4時でした。ゲーム性がとても面白くて深い。「ガチで美少女なTCG」の名の通りですね。
ルールでつまづいた点はありましたか?アタックフェイズは複雑だと初心者からはよく聞きます
デュエマでもアタックフェイズ中に使えるキーワードがあるので、アタックフェイズ関連はすんなり受け入れられました。
構築のルールがまとまっているところがなかったんです。「ライフバーストは20枚まで」「ドリームピースは1枚まで」というルールが分からないし、分からなくてもどこに載っているか見つからなくて苦労しました。《サーバント#》も、最初はこれ抜いていいのかなとも思いました。ルール的に採用しなくてもいいけれど、みんな4枚入れているし、サーバントがないと始まらないゲームですが、これは「必ず4枚いれないといけないのか?」と。
だから本当に最初の最初は、「センタールリグよりレベルの高いシグニは場に出せない」ルールも知らなかったので、センタールリグがレベル1なのに《聖天姫 アークゲイン》を場に出していました。でもゲームが成り立っていたのはすごい笑
構築のルールについては、言われてみればそうですね……。うちで書きます
ぜひ!難しいルールはほとんどなかったので、すんなり遊べました。
あ、一番絶望したことがあって……。《永遠不滅 きゅるきゅる~ん☆》がドリームチームピースを無効化できないことですね。知った時に慟哭しましたよ。まほまほ好きなので……。
それは私からも声を大にして言いたいですね。公式さん、何とかしてください!
イチオシアニメは「Lostorage」
ご自身のカード「その名は カジュアる」はピルルクですが、ピルルクの魅力や思い出を教えてください
清衣ちゃん(※)は初代アニメから最新のconflatedまで、全編にわたって登場します。特にLostorageでは「前作のキャラクター」として登場するんですが、あの立ち位置の子は絶対に強い。その立ち位置が清衣ちゃんというのがいいですよね。
清衣はコード・ピルルクの姿で色々なセレクターを不幸にした立場だから、新しく始まったセレクターバトルに責任を感じている。だから先輩として、千夏やはんなの前に立ちはだかるんです。使うルリグであるアロス・ピルルクの姿が、坂口とアミカ(※)にどこか似ているのもいいですよね。
(※)清衣ちゃん=コード・ピルルクが人間だった頃の名前。ピルルク時代を経て人間に戻り、Lostorageでは「selector」シリーズの主要キャラクターの中では唯一再登場した。
「坂口」「アミカ」はピルルクの物語を描いた漫画『selector infected WIXOSS-peeping analyze-』で登場する。どちらも清衣とピルルクに取って重要な人物。
ね!!
conflatedまで見てから、漫画『selector infected WIXOSS-peeping analyze-』を知りました。絵がかわいいし、坂口もアミカも本当に素敵です。「陰キャに優しいギャル」のような関係性に見えますが、坂口は別に陽キャではないんです。清衣ちゃんがすごく無理するから、「心配だから無理をしないでほしい」と声をかける。普通の子と普通の子の、普通の友情です。
清衣ちゃんは無理して頑張っちゃいますよね。Lostorageで里見とカーニバルに「小猫ちゃん」なんてあしらわれたりもしますが、頑張っちゃいます。conflatedで主人公として、セレクターバトルを終わらせる展開はよかったです。
清衣に限らず、Lostorageは人物造形が丁寧ですよね
僕はどんな作品でも主人公を好きになるので、すず子も好きです。終盤で無敵に、最強になるのは王道ですよね。とにかく心が強い。千夏と向き合い、カーニバルを倒す、まさにいい主人公です。
はんな様も好きです。ディーヴァグランプリのあいさつで「陳謝」と、はんな様語録を最後に使ったのですが、もし最初の挨拶で言っていたら、会場が全面凍結していましたね……。
初のGPで決勝トーナメント進出!使用デッキを徹底解剖
ここからはディーヴァグランプリ5thについて伺っていきます。初のGPでベスト16という鮮烈なデビューでした。ディソナメルを使った理由を教えていただけますか?
とにかく時間内に終わらせられるかを重視しました。
僕はゲストなので、僕と戦った人に迷惑をかけたくなかったんです。僕が遅くて時間切れ両者敗北とか、バーストチャンスで勝敗が決まって、戦った人の予選を邪魔したくなかった。だから、時間切れを絶対にしないデッキを選ぼうと思いました。
「その名は カジュアる」がピルルクなので、本当は《コード・ピルルク 極》が良かったんです。でも僕はデッキの下を覚えられないので《コードハート セイヴ//ディソナ》を使いこなせなかったし、発売1週間で強いデッキリストがなかったこともあって、これはピルルクは無理だなと。
でも、出場するからには真剣に取り組みたいと思っていたところで、遊々亭でしみずきさんのダメージレースの記事が出ました。読んで「メルって攻防の和があるんだな」と知り、使ってみたらとにかく使いやすかったんです。慣れていたこともあり、とにかく制限時間内に終わらせられるので、メルにしました。
どのような点が使いやすかったですか?
《コードイート ズットモ//ディソナ》と《メル=椿姫》のランサーですね。
《聖天姫 エクシア》や《羅輝姫 ダイヤブライド》のような厄介なシグニを無視して、一方的に踏みつぶせる点が良かったです。「《聖天姫 エクシア》をどうしよう」と考えることで時間を消費せず、自分だけで迷わず踏みに行けるランサーが使いやすかったですね。
デッキ全体で、とにかく3面要求がしやすいように意識しました。《コードイート ズットモ//ディソナ》のコインで1面、《メル=椿姫》の能力で1面と、ランサー2面は楽にできるので、残り1面をどうするかだけを意識すればよかったです。
《コードイート ズットモ//ディソナ》のパワーが15000や20000になるのもよかったです。《マキナスマッシュ》やライフバーストのことを考えなくて済みますし、止まるとしても《MC.LION-DISRESPECT》や《マドカ//クラップ》のような、どうせ止まる能力しかいません。「ランサーで迷わず踏む」を軸にしました。
リフレッシュの要素が多く盛り込まれていますね
しみずき先生の記事に「メルはあと1点が足りない」と書かれていて、それを補うために《羅菌 オリゼル》が採用されていました。自分で回す中でも、確かに1点足りないことがあったので、リフレッシュが強力なのはわかっていたんです。
CONCORD DIVAで収録された《コードライド マキナ//ディソナ》を採用しています。このカードは案件での撮影で「こいつデッキ破壊しすぎだろ!」と思っていたカードで、序盤に4枚落としておくと、楽にリフレッシュが狙えるんです。1度《コードライド マキナ//ディソナ》でアタックしておけば、その後《instigate》でほぼリフレッシュできるので、「足りない1点」を補うのにぴったりでした。
ウィクロス集会所の野良試合でも、《コードライド マキナ//ディソナ》を使えばリフレッシュに持ち込めたので、新弾ではリフレッシュの要素を伸ばしましたね。
《ピルルク/P-A》の使い勝手はいかがでしたか?
案件動画で対戦相手に使われて、本当に強かったカードでした。
《サーバント#》を捨てるのは言わずもがなですが、《羅菌姫 ヘドニム//ディソナ》など、パートナーシグニを捨てさせて次のターンの動きを縛ることも多かったです。《コードイート ズットモ//ディソナ》のパワーが15000になると《翠魔姫 バン//ディソナ》くらいでしか除去できなくなるので、それを捨てさせられれば、実質防御にもなりますね。
ルリグを凍結させるのも、この環境に合っていると感じました。《狂奏の巫女 リメンバ・テンペスト》と《羅星姫 サデスタル//ディソナ》もいますし、《未知の巫女 マユ》相手では、相手が《未知の巫女 マユ》にグロウする直前にルリグを凍結しておけば、追加ターンもしのぎやすくなります。
また、メインフェイズでグロウできるのも僕に合っていました。アタックフェイズのグロウは、使うタイミングやモードの選び方など、相手に左右され、考える時間がかかります。メインフェイズグロウだと考えなくていいですし、早い段階でリミットを上げ、3-3-2のフルパワーで戦えるようになります。
残りのアシストルリグは《マキナスマッシュ》ですが、防御は足りましたか?
割と足りました。
対戦を重ねて気づいたんですが、ライフバーストが発動するタイミングが悪く、「これならアシストルリグを使わなくてよかったな」と思うことがありました。なので、殴られる前に守って打点を減らすのではなく、攻撃を全てライフクロスで受けて、ライフバーストを積極的に使う方が、自分のプレイスタイルに合っていると感じました。
ライフクロスで受けるとこちらのエナになるし、ライフバーストが発動すれば相手が苦しみますし、ライフバーストについても、どのタイミングで発動しても腐りにくいものを選んでいます。アップ状態をバニッシュするのは《開園の合図》2枚だけですし、《コードイート ズットモ//ディソナ》はどこで発動しても除去につながり、次のターンの3面要求の難易度を下げてくれます。
注目してほしいのは、ルリグアタックを防ぐライフバーストを持つ《羅原 ミルルン//ディソナ》と《コードメイス アト//ディソナ》を採用している点です。
ルリグアタックでそれらが発動すると意味はありませんが、序盤はなるべくガードで防ぎ、中盤は《ピルルク P-A》でルリグアタックをさせないので、デッキの戦略にも合っています。予選で【ダッシュヒラナ】と対戦した時も、《轟炎 フレイスロ団長》の能力で《羅原 ミルルン//ディソナ》がクラッシュされて勝てました。運が良かったと言えばそれまでですが、ライフバーストを活かせる試合でしたね。
予選や決勝トーナメントを通して、印象に残った対戦はありますか?
決勝トーナメントのベスト16の黒タマ経由のマユ戦で、《ピルルク P-A》のグロウのタイミングを間違えてしまいました。グロウしてから相手がマユだと気づいたんです。自分のライフクロスは4枚ありましたが、効果的なライフバーストもなく、ガードもできずに負けてしまいました。相手のデッキを見抜けていれば勝てた試合だけあって悔しかったですし、もう少しで夢限少女杯でしたね。ただ、僕のサイン会の時間が迫っていたので、このまま勝っていたら更に後ろに押していたかもしれませんし、ちょうどよかったなと思いました。
予選を終えるたびに控室に戻るんですが、僕が勝つたびに、スタッフさんが一緒に喜んでくれたのが嬉しかったです。デュエマのGPは会場が非常に広いので、試合を終えるたびに友人と合流できないので……。あと、こうして取材の機会をいただけたこともですね。
「どうしようもない負け」はある程度自分で制御できる
デュエマとウィクロスの違いで、感じたことはありましたか?
基本的に、一定のテンポでターンが進んでいきますよね。1ターン目はシグニを2体、2ターン目は2、2、1を並べるという風に。ディーセレは基本的に滅茶苦茶な飛び道具がないので、相手の動きをある程度予想し、戦術を組み立てていけます。
《玩具行進曲》を採用したヒラナのようなものすごいデッキもありますが、相手のセンタールリグやアシストルリグはゲーム開始時に分かるので、完全に対策できないということはありません。厳しい対面でも、少しでも良い方向にゲームを持っていこうと努力しながらゲームができます。最後まで戦えるからこそ頑張りがいがあるし、ミスを実感できるし、成長できますね。
デュエマだと同じ赤単速攻でも、【アポロヌス・ドラゲリオン】と【赤単轟轟轟】では、ケアするものが全く違います。「他の速攻はどうにかなるけど、アポロヌス・ドラゲリオンは無理!」ということも大いにありますから。
(※)【アポロヌス・ドラゲリオン】=《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》をエースに添えたデッキ。自分の火のドラゴンが攻撃する際に、その上に乗せて場に出すことができる、ウィクロスでいう【ライズ】のようなクリーチャー(シグニ)。下敷きから3枚のカードを墓地に置くと、相手のシールドを全てブレイクし、そのまま直接攻撃で勝利できる。特化することで最速3ターン目でワンショットが達成できる。
(※)【赤単轟轟轟】=《“轟轟轟”ブランド》を筆頭に、自分の手札が1枚以下の際に発動する能力を持つクリーチャーを多く採用した速攻デッキ。最速3ターンで走り切るか、4〜5ターン目で相手のケアを貫通する打点で勝利を狙う。
「どうしようもない負け」はディーセレでは少ない気がしますね。
他にも、デュエマはマナゾーン(※)に一度置いたカードは触りづらいのに、毎ターン手札をマナにしながら戦う必要があります。それに比べて、ウィクロスはエナゾーンのカードに触りやすいのがとても楽しいですね。僕は全てのゾーンを触るのが好きなので、手札、エナ、トラッシュ、デッキなど、広い領域で対戦を組み立てられるのが、ゲーム体験として非常に楽しいです。
一度場に置いたカードもエナを経由すればトラッシュに置けますし、《似ノ遊 カゴメカ//ディソナ》のライフバーストために、相手の盤面ががら空きなのに《幻獣 ワウルフ//ディソナ》の能力をあえて使って、コストにはレベル1のディソナシグニを充てたり。ライフバーストは運の要素もありますが、ある程度は自分で制御できます。何度もプレイするうちに、そのことに気づいて覚えていけるのが本当に楽しいですね。
(※)マナゾーン:デュエル・マスターズではクリーチャーや呪文を使う際、マナゾーンのカードをコストとして支払う必要がある。ウィクロスでは支払ったエナをトラッシュに置くが、デュエマではマナゾーンでタップ(=ダウン)させて支払う。タップしたマナは次のターンにアップされ再利用できる。マナはメインフェイズ前の「マナチャージステップ」で、手札から1枚置くことができる。
ウィクロス動画が発展するために〜「対戦」にこだわる必要は無い?
ここからは動画コンテンツにつきまして、カジュアるさんの知見や経験を伺っていきたいと思います。「カジュアるデュエマGAMEs」で公開されている解説や対戦動画は、とてもテンポが良いですよね。
テンポの良さを最も大切にしています。自分が飽きっぽいので、退屈しないようにしていますね。
デュエルマスターズの動画作成の経験がウィクロスに活きた箇所はありましたか?
実は意外と無くて……。カードゲームの対戦動画の経験が豊富だった、ということに尽きますね。
逆にウィクロスならではの難しさはありましたか?
ウィクロスは、フラっと気軽に見ることができるゲームではない、率直に言えば「動画向きではない」と思いました。ただそれは「ウィクロスだけが動画に不向き」というだけではないんです。
デュエマの動画を作って思うのですが、デッキを紹介したいのなら、何も対戦動画である必要はないんです。カードゲームの対戦動画におけるデッキ紹介の文化は、遊戯王のカードキングダム(※)さんや、デュエマのフェアプロ(※)が作ったフォーマットがあり、加えて、遊戯王とデュエマが特に対戦動画に向いたゲーム性で、対戦動画にできてしまい、そのスタイルが広まったのでは、と考えています。それが、他のタイトルにしてみれば「不幸中の幸い」ならぬ、「幸い中の不幸」でした。ユーザーにも「カードゲームの動画といえば対戦」と、無意識のうちに刷り込まれていますよね。
遊戯王とデュエマに匹敵する人気タイトルにポケモンカード(ポケカ)がありますが、対戦動画はポケカの規模感の割には、さほど再生数がありません。最も大手とされる対戦動画でも平均は20000再生くらいで、これは僕と同じくらいですし、デュエマでより人気のあるチャンネルですと、平均80000くらいはありますからね。ただ、ポケカは開封動画の人気が非常にあるタイトルです。
もちろんこれは「ポケカや他のタイトルが、遊戯王・デュエマより劣っている」と言っているわけではありません。重ね重ねになりますが、「遊戯王とデュエマが、対戦動画に異常に向いていたゲーム性だった」ということです。
(※)カードキングダム=カードショップ「カードキングダム」が運営するYoutubeチャンネル。2007年の投稿開始以降、遊戯王を筆頭に様々なタイトルの対戦動画を公開し続けている、カードゲーム動画チャンネルの先駆け的存在。赤いプレイマットが印象的。
(※)フェアプロ=デュエマの対戦動画チャンネル。フェアリー氏、ZweiLance氏によって運営され、ほぼ毎日デュエマの対戦動画を公開していた。2020年9月に活動を休止するも、両氏はデュエマの代表的なインフルエンサーとして活躍している。
遊戯王だと派手なコンボ、デュエマだとカードがどんどん広がる様子は、動画で見応えがありますね
ウィクロスの話をすると、ウィクロスをプレイしていないと「面白い」の感覚は分かりづらいでしょう。ディーヴァグランプリの決勝戦の動画は、僕はとても楽しめましたが、知識がない人が見ても同じように盛り上がれるかといえば、そうではない。ここはウィクロスのゲーム性としてどうしようもない部分だと思います。
解決策は、ウィクロスでセンセーショナルな話ができる人が動画を出すことです。人を引き付ける話ができ、知識がある人が、技術を持って、レベルの高い動画を作る。それが最低限必要なことです。ウィクロスであれば「hyakkoTCG」の、「この動きは本当に正解?」のようなプレイ動画は好きですね。
他にも「《参上 緑姫》のゲーム1は《大器晩成》をオマージュしたものだよ」のような、昔の知識を持ってカードを紹介する動画も良いかもしれませんね。「ウィクロスの動画が伸びるにはどうすればいい?」という質問には、「解説系に力を入れましょう」と答えます。
ただ、レベルの高い動画ができたからといって、それが評価されるとは限りません。デュエマや遊戯王と比べてユーザーが少なく、それは潜在的な視聴者が少ないことと同じなので、デュエマや遊戯王と同じ路線をウィクロスが歩んだところで、すぐに視聴者が増えるということはないでしょう。
ウィクロスの動画界隈を発展させるには、やはりユーザーが増えるしかありません。僕も今後頑張っていきますし、公式さんも、にじさんじや各種コラボで、ウィクロスを認知してもらうことに力を入れてほしいです。
良質な文字コンテンツはあるが、動画の流れは大きい
対戦動画である必要はない、ということはハッとしました
ウィクロスが対戦動画向きではないと気づいたので、僕は最初対戦をしませんでした。
対戦動画を作るのであれば、ASTERさんのチャンネルは非常に見やすかったです。最もウィクロスに最適化されていて、見やすい動画の極みですね。僕も参考にさせていただきました。
僕としては、アトちゃんという宝をもっと押し出したい。「アトちゃんねる」のショート動画はめちゃくちゃ面白い。あれほど狂った、すごい人(?)を野放しにしてはいけません。自分の世界観と理由を以て毎回動画を作っているらしいのですが、あんなにセンスが良い子はいません。「新弾まで毎日1パック開封します!」という動画なのに、発売日前日に3パック残っている計画性のなさとか……。オールマイティ・ラボ風にアトちゃんを紹介する動画とか、ここぞのタイミングで出したいですね。「このかわいらしい緑の生き物はアトちゃんといい……」という風に。
デュエマと比べて、ユーザー発信文化の雰囲気や特色に違いはありましたか?
ウィクロスは無料の情報の質が非常に高いです。有料noteの文化がなく、遊々亭さんや公式のウィクロスアカデミー、他にもブログなどでたくさん情報が出ています。遊々亭さんにはとても助けられていますね。デッキ構築だけでなく、プレイングの考え方などは非常に参考になりますし、これが無料で読めていいのかと驚くほど、レベルの高い記事が揃っています。
ただ、やはり世間的にも、動画で発信する流れは大きいです。ウィクロスはほとんどの人が記事ベース。テキストカバレージも読み応えがあって面白いですが、「読む」という行為のハードルが、日に日に高くなっているのではないでしょうか。
仕事でウェブメディアを運営しているので、それは痛感しています
しみずきさんのダメージレースの記事を音読し、都度画像を差し込めば、良い動画は間違いなくできます。が、そこに需要があるかどうかは別の話になってきますよね。
背景世界に「女の子」…デュエマの魅力も語らせて!!
カジュアるさんのデュエルマスターズ歴を教えてください
2007年くらいに始めましたね。「極神編」(※)の時期で、ゴッドリンクが出た時代です。コロコロコミックでものすごく特集されていて、コロコロを読むとデュエマから逃れられません。小学生の男の子は徹底的に刷り込まれていますね。おはスタの中でアニメ「デュエル・マスターズ」が放送されていて、メディアミックスの力はすごかったです。
僕の地域ではデュエマがすごく流行っていて、僕も友達がやっていたから始めました。「男の子は遊戯王かデュエマ」とよく言われますが、遊戯王ではありませんでしたね。
(※)極神編=デュエマの拡張パックは4〜5弾にわたって「極神編」「覚醒編」などの「ブロック」が設けられ、そのテーマに沿ったデザインやコンセプトが登場する。ウィクロスでいう「ディソナ編」「フェゾーネ編」に近い。
デュエマの魅力や面白さは何ですか?
「特にここ!」と挙げるのは難しいのですが、やはり原作マンガの面白さでしょうか。松本しげのぶ先生の描くマンガがとても面白いし、手掛けるキャラクター、クリーチャーのデザインが本当に魅力的です。最近だと《覇炎竜 ボルシャック・ライダー》も印象的ですし、僕が好きな「十王編」でも多くのデザインを担当されています。
特に見ていただきたいのが、現在放送中のアニメ「デュエル・マスターズ WIN」に登場するカレンという女の子が使うクリーチャーなのですが……。女の子が使うクリーチャーなので、かわいらしい女の子になっています。
かわいい女の子もいるんですね
はい。こちらがエースのクリーチャーです。
手裏剣に顔?え?女の子……?え?
《聖カオスマントラ》という、巨大な手裏剣の真ん中に顔がついているクリーチャーです。これをかわいい女の子が切り札として使うという……。ちなみに構築済みデッキも発売されますが、そちらには体があります。そして、《聖カオスマントラ》が従える兵士はこんなデザインです。《瞬現の聖沌 n41kun4》といいまして……。これで「ナイクーナ」と読むんです。
てっきり《解体人形ジェニー》のようなものを想像していましたが、これはすごい
こういう度肝を抜かれるデザインが魅力でもあります。能力も「ニンジャ・チェンジ」といって、相手の攻撃に合わせて手札のクリーチャーと入れ替わる、「革命チェンジ」を思わせる名前になっています。
今は3万人を超える登録者数となりましたが、伸びたきっかけなどはありましたか?
デュエマのルール解説動画で大きく登録者数が伸びた印象があります。真面目に解説する動画を作ったら受けが良くて、そこから数字が伸びていきましたね。あとは、背景ストーリーの解説も多く再生していただきました。
教育系の大学に通っていたので、解説系の動画は自分にも合っていましたし、教えることへのモチベーションも大きかったです。結局教師にはならず、専業Youtuberになりましたが、楽しくやっています。
ウィクロスをどんどん遊んでいきたい!
ウィクロスの動画も今後は作っていきますか?
作りたい気持ちはありますが、本当に余裕がある時にしか公開できない現状があります。
やはり「カジュアるデュエマGAMEs」なので、視聴者さんはデュエマを目当てにチャンネルを訪れてくださります。他のタイトルが公開されているとがっかりさせてしまいますし、再生数は専業でやっている以上、収入に直結しますので、難しさはありますね。サブチャンネルの開設も考えましたが、デュエマ動画の数が減ると収入につながりますし、ウィクロスのサブチャンネルの更新頻度が空きすぎるのも、「カジュアるさん、ウィクロス飽きちゃったのかな」と思わせてしまいます。専業ゆえの難しさですね。
ただ、ウィクロスの動画を上げられるならどんどん上げたいですし、僕はウィクロスをみんなにやってほしいと思っていますので、魅力をこれからも発信していきたいです。
最後にこれからの豊富と、ユーザーに向けて一言お願いします
ウィクロスをどんどん遊んでいきたいです。大阪のディーヴァグランプリ6thにも出たいですし、今回ベスト16に入賞できたので、夢限少女杯も目指してみたいですね。
何より、ウィクロスが好きなので、ぜひ仲良くしてください。「他のゲームのインフルエンサーが急に生えてきた」と思わせてしまっているかもしれませんが、僕もいきなり呼ばれて驚いているので……。ウィクロス大好きで、僕なりに頑張っていきますので、これからもぜひ、よろしくお願いします。
編集後記
2時間にわたるインタビューでは、カジュアるさんのウィクロス愛をたくさん伺うことができました。特にメルの構築理論やライフバーストの考え方などは、プレイヤーとしても非常に背筋が伸びるものでした。夢限少女杯にプレイヤーとして参戦している姿が今から目に浮かびますね。
動画コンテンツはウィクロスでも大きな課題で、今回カジュアるさんに取材を申し込んだのも、動画についての知見を広く聞きたかったためです。非常に実のある意見をいただきましたので、対戦動画に限らず様々な角度から取り組み、ウィクロスコンテンツの発展に繋げていきたいですね。ウィクロス動画は未開拓の領域ですから、動画をやってみたいという方は、これを期にぜひ取り組んでみませんか?
個人的にはピルルクトークが非常に楽しかったです。デュエマでは《聖カオスマントラ》シリーズがかなり好みなので、カレンの構築済みデッキを買ってみようかな?カジュアるさん、ありがとうございました!
関連リンク
・カジュアるさんYoutubeチャンネル「カジュアるデュエマGAMEs」
・デッキ作りの試行錯誤を楽しもう!〜しみずき選手、シロネコ選手記念インタビュー
・ディーヴァセレクション全ルリグ解説
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